ESOPONO FABVLAS.450. エソポのハブラス1.08 (450.03--451.02)カラスと、キツネのこと。 ある時カラス食を求め得て、木の上に休み居るに、キツネも食を求むれども、得いで馳せ帰るとて、カラスのふくんでいる肉叢(ししむら)を見て、羨ましゅう思い、何とぞしてこれを誑かいて取らばやと巧んだが、カラスの居た木の本に行って言うたは、「如何に諸鳥(しょちょう)の中の優れて気高(けたか)いカラス殿、御辺(ごへん)の翼の黒う輝(かかや)くは、袞竜(こんりょう)の御衣か? または錦か? 繍(ぬいもの)か? まことに奇妙な装束ぢゃ。しかれどもここに一つの不足があると人皆これを沙汰する、それをなにぞと言うに、音声(おんじょう)が聊か鼻声で明らかにないと申すが、真や
この頃は音声も明らかになって、歌わせらるる声も面白いと承る、一曲聞かさせられいかし」と言えば、カラスこのことを聞いて真かと心得て一曲あぎょうと口を開くと共に肉叢をば落といた、キツネ下で落としもつけずこれを食ろうた。 注: 袞竜(こんりょう) 竜のぬいとりをした衣のこと。 繍(ぬいもの) 刺繍のこと。 ・類話などについて タウンゼント95.キネツとカラス カラスが、肉をくわえて、木にとまっていた。キツネはそれを見ると、うまくせしめてやろうと思いこう言った。 「ああ、なんて素敵なカラスなんだ! 容姿端麗、肌はきめ細やかで、非の打ち所がない。もし、姿と同じように声も美しかったら、鳥の女王様に違いないんだけど……」 カラスはキツネの言葉を真に受けて、自分の声の素晴らしさを披露しようと、「カア」と啼いた。 カラスの口から肉は落ち、キツネが、さっと拾い上げた。 「おお、カラスさんや。声の美しさは申し分ありません。でも、おつむが少し足りないかもしれませんね」 Perry124 Chambry165 Phaedrus1.13 Babrius77 Caxton1.15 伊曽保2.21 Houston8 Charles55 La Fontaine1.2 Krylov1.1 日本昔話通観537A, 537B 狐ライネケ2.1 Type57=K334.1 (Aesop) 狐物語11 ルナールが烏のティエスランからチーズをだまし取った話 参照 カラスのティエスランが、チーズを盗み木の上で食べていると、ルナールが、歌を歌うようにとお願いする。ティエスランは甲高い声で長々と歌ったので、思わず右足が緩んで、チーズをルナールの足元に落としてしまう。ルナールは、そのチーズが食べたいのだが、あわよくば、ティエスランも捕らえようと、チーズには目もくれず、立ち上がると怪我をしている足を挙げて、「こりゃ何だ。チーズが臭くて死にそうだ。チーズは傷に悪いと言うからね。ああ、ティエスラン、頼むから降りてきてこの苦痛の種をのけてくれ」と言う。 ティエスランはそれを真に受け、地面に降りてくると、ルナールは襲い掛かる。しかしそれは失敗して逃げられてしまう。ルナールは、憤懣遣る方ないといった様子だったが、「どこに行ってもこんなに美味しいチーズはお目に掛かったことがない」と呟く。 ライネケ狐 ゲーテ 第7章 参照 多弁で大声の鴉のメルケナウが登場し次のように証言する。 「かように恐ろしい目に、きょうあいました。妻シャルフネベともどもけさ早く出かけたところ、ライネケめ、まるで死人のように野中にぶっ倒れ、顔はと見れば両眼むいて、大きくあけた口から舌がだらりと垂れていて、そのためわたしは怖さのあまり、大声あげてわめき始めた。彼は身動き一つせず、わたしは何とも痛ましく、『ああ、気の毒に!』と叫びました。わたしは彼のおなかと頭にさわり、同じく女房も体に近づき、もしや息が通ってはいないかと、顎のところへ歩み寄ったが、耳を澄ましてみても無駄。 さて悲しげに女房が不安も覚えずに、このごろつきの口もとに嘴を近づけると、悪魔め、それに気づき、やけくそに彼女に噛みついて、その頭を食いきりました。・・・・」 Odo of Cheriton 72 狐 狐は腹が減った時、死んだ振りをする。どうするのか? 彼は地面に横たわりそしてじっと舌を突きだしている。鴉や鳶が死骸だと信じて舞い降りて、彼の舌を啄もうとすると……逆に噛みつかれ貪り食われる。 これは、死んだ振りをして舌を前に突き出す悪魔のすることである。即ち、悪魔は美味で上品であるように見せかけたものを披露する。美しいご婦人、楽しげな食事、極上のワイン……等々。そして人が誤ってそれらを掴もうとすると、逆に彼自身が悪魔に捕えられるのだ。 日本昔話通観インデックス 537A たにしと烏--巧言型 烏がたにしをくわえて食おうとすると、たにしは烏の目と体と足をほめちぎる。うれしがった烏がたにしを放つと、たにしは泥の中に逃げこみ、烏の醜さをけなしたてる。 日本昔話通観インデックス 537B たにしと烏--嘆願型 烏がたにしをくわえて食おうとすると、たにしは、食われる前にあなたの美声を一声聞きたい、と願う。烏が一声鳴くと、その口からのがれたたにしは泥の中に逃げこむ。 Odo of Cheriton 105 コウノトリと猫 重要な人物は、賞賛や非難の言葉で評価されるのではなく、彼の仕事で評価される。 雛たちや自分のために、鰻を家に運ぶコウノトリを見習うのがよい。猫は……魚を食べたがるが、しかし、自分の足を濡らすのを好まない。そんな猫がコウノトリを見かけた。そして彼はコウノトリにこう言った。 「あなたは、鳥の中で一番美しい! なぜなら、あなたの嘴は紅で、羽毛は純白だからです。あなたの嘴は、外側と同じように、内側も赤いのですか?」 コウノトリは全く答えたくなかったし、口を開けたくもなかった。……彼女は鰻を決して失いたくなかったのだ。我らが猫は、今や腹を立て、暴言を吐いて罵った。 「お前は、耳が聞こえないか、口が聞けないかのどちらかだ」更に猫はコウノトリに言った。「返事すらできんとは、全く見下げた奴だ。お前は時々、蛇を食ってるんだろう?……そいつも蛇じゃないのか? 毒を持つ、最もいやらしい動物をくわえているんじゃないのか? この世の生き物は皆、この世の物を欲する。……しかしお前は、いやらしい、不潔な奴らを欲するのだ。だからな」猫は捨てぜりふにこう言った。「鳥の中で一番汚らわしい鳥は、お前なんだよ」 コウノトリは全く返事をしなかった。そして、鰻をしっかりとくわえたまま、家路を急いだ。 このように、正しき人は、お世辞によって、舞い上がったり、罵倒によってひっくり返ったりはしない。他の者たちの言いたいように言わせておくものなのだ。しかし、正しき者は鰻は失わない。慈愛と忍耐を貫き通すのだ。あなた方は、黙って自分の道を突き進み、そして救済されることになるのだ。 |
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