ESOPO NO FAVLAS.

0.01

読誦の人へ対して書す。

 そうじて人は、()もなく(たわむ)れごとには耳を傾け、真実の教化(きょうけ)をば聞くに退屈するによって、耳近(みみぢか)きことを集め、この物語を(はん)に刻むこと、例えば樹木を愛するに(こと)ならず。その(ゆえ)は植木には益なき枝葉(えだは)多しといえども、その中に善き実あるをもって、枝葉(えだは)を無用と思わぬが(ごと)くなり。かるが(ゆえ)にスペリョレスの仰せをもってこの物語をラチンより日本の言葉に(やわ)らげ、色々の穿鑿(せんざく)の後、(はん)に開かるゝなり。これまことに、日本の言葉稽古(ことばけいこ)のために、便(たよ)りとなるのみならず、()き道を人に教え語る便(たよ)りともなるべきものなり。


註:
教化 「人々を教え諭し導く」こと。元々は仏教用語。

ESOPO p408

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