ESOPO NO FAVLAS.

0.06 (エソポ農人に答えること) 414.23--415.22

 ある時シャント遊覧のためにエソポを連れて出らるるに、百姓一人(い ちにん)シャントに不審を為すは、「自然(じ ねん)に生ずるところの草木は養い育つることが無けれども、大きに繁盛し、五穀の類は養育すれども、栄ゆるこ とは少ないがこの儀は何と」と、シャント「これは別の仔細ではない、ただ天道(てんとう)の 自然ぢゃ」と答えられたれば、その時エソポ「この連れの返事は田夫野人(で んぶやじん)の申す儀ぢゃ」と言えば、「さればおのれ答えい」とあって、かの農人(の うにん)に「我が(やつこ)に 問え」と言わるれば、農人エソポを見て「あれ程卑しゅう拙い身で、なっとしてこの返答には及ぼうぞ」と大きに笑うた。その時エソポが言うは、「そうじて人 は他の姿をもって是非をば論ぜぬものぢゃ、ただ知恵の有り無しにこそ依ろうずれ、まづ只今の不審はいと易い儀ぢゃ、譬えをもってその方に示そうず、人の習 いには実子をば懇ろに養えども、継子をば丁寧にせぬものぢゃ、その如くに自然に生ずる草木は四大(し だい)の為には実子ぢゃ、これによって人間の養育を借らいで成長(せ いぢょう)し生え茂る。その他の五穀以下(いげ)は 四大の為には継子の心ぢゃによって、養いを次にする」といかにもありありと答えた。


ESOPO  p414  p415


類話などについて

TMI. J1033 庭師は精魂込めて野菜の世話をする。

「カリーラとディムナ 菊地淑子・訳 東洋文庫331 p27」
土地を掘り起こして耕作に精を出すのは、穀物の実りを願うからであるが、にもかかわらず雑草は自然と生えてくる。

小学読本 田中義廉 明治7年8月改正 文部省 (初版明治6年)

巻の二 第五.
  今、花園に、善き種子を、蒔きて、善き植物を、生ぜしめ、美しき花を、開かしめんとするに、園中に、蔓れる雑草を、抜き取らざるときは、蒔きたる種子を、 害して、成長すること、能はざらしむ
今、此処に、花園の、雑草を、抜き去る図を、出だして以て、これを示さん
地は、もとよきものなれども、善き種子を、蒔かざれば、よき植物を生じ、美しき花を、開くこと能はず、又、芽既に萌出でたるときは、能く培養せざれば、生 長すること能はず、雑草は、これに反して、種子を蒔かざれども、自生長し、これを抜き去らざれば、大に蔓りて、善き植物を害し、終にこれを、枯らし尽す に、至るべし
人の心は、もと、善きものなれども、善き教を、聞きて、これに従はされば、善き人と、成り難し、教師の教は、即、我心に、種子を蒔くに同じ、故に、心を用 ゐて、これを育ひ、能く成長せしむべし、然れども、不正の心の、生じ易きこと、雑草の如くなれば、心に蒔きたる、善き種子を、害すべきものは、勉めて、こ れを抜き去らずは、あるべからず、もし、これを抜き去ることを、怠りて、成長せしむるときは、終には、中に萌せる、良心を害して、これを枯らし尽すに、至 るべし、
汝等、善き人と、ならんことを欲せば、此人の、雑草を抜き去るが如く、勉めて、不正の心を、抜き去るべし」
(アメリカのウイルソン・リーダーからの翻訳)

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