ESOPO NO FAVLAS.

エヂプトよりの不審の条々。

0.19 (天にも地にもつかぬ楼閣を建立すること) 436.03--437.10

 エソポ国王に奏するは、「グリホという大きな鳥を四つ生け捕ってかの鳥の足に篭を結い付け、その篭に(わらんべ)を入れおき、鳥の()を持たせ差し上げば、鳥も上に上がり、下げば鳥もまた下がるように習わせて、かの四つの鳥の上にその造営を致そうずる」と言うてエソポはエヂプトに赴いた。かの国の人どもエソポを見て、笑い嘲ることは限りがなかったれども、エソポはこれをものともせず、内裏(だいり)に参って、国王を礼拝(らいはい)してかしこまったを国王ご覧ぜられて、「さて高楼の作者は何と」と問わせらるれば、「各々召し具してござる、いづれの所に建立つかまつろうぞ」と奏すれば、所を()いて教えさせられたところで、国土の貴賎上下見物しょうと出たつこと限りも無うて、(あまっさ)え帝王后までも車を立て並べてここを先途(せんど)と見物させられたに、エソポは、かねて巧んだことなれば、くだんのグリホを四所(よところ)に置いた。その時帝王「作者はたれぞ」と問わせらるれば、篭の内な童が参って一方の手には鳥の餌を持ち、ま一方には/(こて)をとってかの鳥の餌を差し上げたれば、かの鳥遥かに飛び上がった時、童「いづくのほどに かの御造営をばあろうぞ」と言えば、「その辺に建てい」と仰せららるれば、童 応えて申すは、「しからば石と、土とを運ばせられい」と言えば、上一人(かみいちにん)より(しも)万民返事に詰まって物言う者もなかったによって、エソポが才知のほどを大きに誉められ、帝王も、臣下も、その他 下々(したじた)の者どもも「この人を師とせずは、たれ(びと)か師にしょうぞ」と感じ合われたと申す。


ESOPO  p436  p437


・類話などについて

空中宮殿のインドの話については、『インドの笑話』 田中於莵彌・坂田貞二訳 春秋社 参照のこと。

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