ESOPO NO FAVLAS.

0.20
エソポ養子(ようじ)に教訓の条々。437.11 --439.03

 子に向こうて申すは、「汝確かにこの儀を聞いて耳には さめ、人によいことわりを教ゆるとも、その身に守らずは、木 賊(とく さ)の物を滑らかに磨いて、おのれは粗相な如くぢゃ。また天道(てんとう)の わたくし無い事をかがんみ、万事を謹み、天に(せ くぐ)まり、地に(ぬきあし)する心を持て、人 は万物の霊長であるぞ、それによって人と、万物の差別を置かずは、鳥類、畜類に同然ぢゃ。このような者には天罰遠うはあるまじい、万事について難 儀難艱(なんぎなんがん)出来(しゅつらい)しょ うず、それを心から堪忍せい、その堪忍をもって万事ことごとく心に叶わうず、親しいをも疎いをも分かたず、平等に笑い顔を人にあ らわせ、妻に心を許すな、平生異見を加えい、惣別女は弱いによって、悪には入りやすう、善には至り難いぞ、慳貪放逸な者を友にすな 悪人の威 勢富貴(いせいふっき)を羨むな、道理の上からでない時は、富貴は却っ て成り下がる基いぞ、我が言わうずる言葉をおし留めて、他人の言う事を聞け、言語(ごんご)に 邪なかれという轡を常にふくめ、乱れがわしゅうものを言うことを本とする所ではなおその嗜みにゆるかせをすな、よい道を修証(しゅしょう)ずるには、人口(じ んこう)外聞を憚るな、学問をせいで心の至るということはないことぞ、我より下の者に崇 敬(そうきょう)せらりょうよりも、(か み)たる人に諌めらるることを喜うで交わりを為せ、大事を妻に漏らすな、女は知恵浅う、無遠慮なによって、他 に漏らいて(あた)となるぞ、凡下の者を卑しめ 侮るな、却って憐憫(れんみん)を加えい、これは すなわち天のお憐れみを蒙る道ぞ、万事を務め行わぬ前に、心を尽くいて思慮を加えい、極悪の人に異見を為すな、病目(やもめ)為 には日の光が却って仇にならず病者(びょうじゃ)良 薬(ろうやく)(ぶ く)して癒え、凡人は異見を受けて善人とも為るぞ。」


ESOPO  p437  p439


・類話などについて

この話も、古代オリエントの、「賢者アヒカルの言葉」からとられている。
筑摩世界文学大系1 古代オリエント集 杉勇・訳 参照のこと。

Type911* .TMI.J21.27,J21.28.
死に際の父親の助言。「決して妻に本当のことを言うな。自分の子供以上に、他人の子を躾けるな。主人に不実であってはいけない。理性だけで統治する支配者 を信用してはならぬ」

エスピノーサ スペイン民話集 23 父の教え 三原幸久 編訳 岩波文庫
昔、独りの息子のいる父親がいた。父親は死ぬ時、三つの教えを言い遺した。
 「まず最初に、ガリシア人の召使を雇うな。第二にわしの山にデサを作るな。第三に、女房には秘密を明かすな。」

Type 1381D = TMI.J2353  妻は秘密を広める。

カリーラとディムナ p52 菊池淑子 訳 東洋文庫331 
いったん実行すればほとんど無事ではすまない三つのことは、君主の友であること、女に秘密を打ち明けること、試しに毒を飲んでみることだ

サキャ格言集 258 今枝由郎訳 岩波文庫
出来ない仕事を手掛けること/大勢と不仲で権力者と闘い/女を信用して悪人と仲良くなること/この五つはすみやかに自滅のもととなる。

知恵の教え 助言について 西村正身訳 渓水社
「秘められた計画は、いわばあなた自身の牢獄に閉じ込められているといえる。しかし明かされてしまえば、今度はその牢獄にあなたが縛られて入れられてしま うのだ。」

カンタベリー物語2p389 桝井迪夫訳 岩波文庫
かの本も言っています、「汝は自分の秘密をその心に秘めている間は、それを汝の牢獄の内にしまっているようなものだ。汝がその秘密を誰かに打ち明けた際 は、その人は汝をその人の罠の中に捕らえたようなものだ」と。
 
ナスレッディン・ホジャ物語 トルコの知恵ばなし p232 護雅夫訳 東洋文庫38 参照。
ホジャが庭を掘っていて、良い物を見つけ取り出して隠す。妻に見せてもよいかどうかしばらく考え、その揚句、ひとつ試して見ようと心に決め、卵を一つ懐に 入れ、「病気じゃ」と言って寝床へ入り苦しそうな格好をして、「クッ、クッ」と鳴き鳴き、卵を取り出して妻に示す。そして、「これは誰にも言うな」ときつ く言い含める。
 礼拝の時刻が来たので、家を出て行くと、妻は待ちきれんように窓を開け、隣の奥さんに、亭主が卵を産んだことを喋る。隣の奥さんは、自分の亭主にこのこ とを話し、その亭主は珈琲店へ行くと、そこの連中に伝える。ホジャが寺院から出て、珈琲店に入ると、皆笑い合いながら、
「でかしたぞ、ホジャ! どんなにして卵を産んだんじゃい・・・・」 
 と言った。
 ホジャはそこで、「ご先祖さまたちが、『隠し事は、女にゃ夢々打ち明けるなよ』と仰ったなあ、まったくもっとも至極じゃわい。」と呟いた。 

ラ・フォンテーヌ 寓話 8.6『女性と秘密』 もホジャの話と同じ。

ゲーテ・ライネケ狐 5 
あるとき、グリンバールトが朝酒ですっかり上機嫌、軽はずみにも、愚かにも口を滑らせて、自分の女房に秘密をすっかり披露した。女房には他言無用と言いつ けて、それで無事だと思っていたが、その女房は、まもなくうちの家内に会いますと、三人王の名をあげて厳かくに誓わせ、名誉と真実にかけて、いかなる場合 もたとえ一言なりと誰にももらさぬと約束させたうえ、秘密を残らず打ち明けた。ところが家内も、さきの連中に負けず約束を守らぬ女で、私を見つけるとす ぐ、耳にしたことを聞かせてくれ、そのうえ、自分の話の真実性をたやすく知りうる証拠をあげた。

プルタルコス 饒舌について 柳沼重剛訳 岩波文庫 no11. p50
ローマの元老院が、何日もの間いっさい余人を交えずに秘密会議をつづけた。事がいっこうにはっきりしないためにいろいろの憶測も生じたが、ここにある夫 人、概して分別のある人だったが、そこはやはり女ゆえに、夫に迫って秘密を教えてと執拗にせがんだ。秘密は守ると誓い、万一それを破ったならばと、自分に 呪いまでかけた。私はどうせ信じていただけないのでございましょうと涙をこぼし声をあげて泣いた。
 夫は妻の愚かしさを証明してやろうと思って、こう言った、「妻よ、そなたの勝だ。だが聞いてくれ。恐ろしい、奇っ怪な話があるのだ。神主たちからの報告 な のだが、冠雲雀が一羽、金の兜を戴き槍を携えて飛んでいるのを見たというのだ。そこで今我々は、これが吉兆なりや凶兆なりやを慎重に思案し、占い師たちに 問うているところなのだ。ただし、他言無用ぞ。」こう言って彼は広場へ出かけた。
  しかしこの妻は、最初に入ってきた召使の小娘をつかまえ、おのが胸を手で打ち髪を掻きむしって大仰に嘆いてみせて、「うちの方やお国にとって、何というこ とでしょう。私たちはどうなるのでしょう。」小娘が「何があったのでございますか、」と聞いてくれるようにと願い、またそう仕向けて彼女はこんなことを 言ったのである。そこで小娘がそのとおり尋ねると彼女は一部始終を話し、こうしたおしゃべりには付きものの、誰にも言うなしゃべるなという例の文句を添え たが、小娘の方は、奥方の御前から退ったのと、仲間の暇そうな顔をしていたのをつかまえて早速にもこの話をまくしたてたと、いずれが早かったか。そしてそ の暇そうなのが今度は、折りしも彼女のところへ通ってきた恋人にしゃべった。
 こうしてこの話はどんどん広まり、この噂をこしらえた本人よりも先に広間に届いていたので、知り合いの者が彼に遭うなり、「君は今家から来たばかりか」 と 言った。「そうだ。」「じゃあまだ何も聞いちゃいないのか。」「また何かあったのか。」「冠雲雀が金の兜をかぶり槍を持って飛んでいたというのだ。」する とかの者は打ち笑い、「何と見事なこの速さ。妻よ、私より噂の方が先に広場に着いたぞ。」

湖南桃源 妊婦が息子を出産後、丸い形の"卵"を出産

(編集翻訳 孫靜)  2002/09/19 15:19:03

新華網湖南9月18日発 (記者 万崗山 鄭国慶)先頃、湖南桃源県沙坪鎮に住むある妊婦が、自宅で"男女の双子"を出産した。同時 に、彼女は男の子を出産してから、丸い形の物体を出産した。丸い巨大な卵らしい。家族はは怪しい物だと思い、豚小屋に捨てた。助産婦さんは気配りが細かい 人で、彼女はその"卵"を再び拾って洗ってから、はさみで切り、その中には、発育状態が良く、睡眠状態の女児を発見した。この女児は卵から生まれた。産婦 人科の医師の説明によると、このようなことはとても少なく、珍しいとのこと。
 (www.xcnjp.com 株式会社新華通信ネットジャパン )



極悪の人に異見を為すな、病目(やもめ)
為には日の光が却って仇にならず

サキャ格言集 3 今枝由郎訳 岩波文庫
賢者は格言を理解するが/愚者はそのかぎりではない。/太陽の光が現れると/フクロウは盲目となる。

サキャ格言集 177
立派な人を供養するのはいいが/劣った人を供養すると過失のもと。/牛乳は人には甘露であるけれど/毒蛇に与えれば毒を増す。

ヒートパデーシャ 金倉圓照 北川秀則 訳 岩波文庫
乳もし蛇の飲まれなば、/毒を増すのみ。教訓も、/愚者にとりては癪の種。/心の静めもたらさず。 

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