ESOPO NO FAVLAS.

ネクテナポ帝王エソポに御不審の条々。439.04--443.07

0.21 (牝馬が孕む不審のこと) 439.06--440.05

「グレシャの国からあまたの草駅(ぞうやく)を曳き寄せたが、バビロニャの国に(こま)(いば)えば、必ずこの国の草駅が孕むことがある、その心は何と」と問わせらるれば、エソポ「この答話(とうわ)をば明日(みょうにち)言上仕らうずる」とて、我が宿に帰り、エソポその夜 家の猫を散々に打擲せられたところで、エヂプトの国はゼンチョで猫を崇敬(そうきょう)するによって、旅宿(りょしゅく)の亭主がこの由を奏聞すれば、叡慮を悩まされ、エソポを召して「汝はなぜに猫を打擲するぞ」と、問わせらるれば、エソポ申すは、「バビロニャの禁中の鶏をこの猫が夜前食らい殺いたによって、不肖ながらも某はリケロ帝王の臣下一分(いちぶん)でござれば、打擲 仕った」と申せば、エヂプトの帝王聞かせられて、「遥かの境なバビロニャへ 何としてこの猫が一夜の内に行き来をしょうぞ」と仰せらるれば、「御厩に召し置かれた草駅がバビロニャの駒の(いば)うを聞いて孕うでござる如く、かの猫も往返(おうへん)仕った」と奏すれば、「奇特(きどく)な答話ぢゃ」とあって感じさせられたと申す。


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