古活字版 伊曽保物語 変体仮名

01 伊曽保物語上
02   第一  本国の事
03 去程尓えうらう者のうちひ里しや乃国と路屋と云
04 所尓あ毛う尓やといふ里あ利そ能さと耳いそ本
05 といふ人あ利介利其ちたひえうらう者のこく中尓
06 加本と乃見尓くき人奈し其ゆへ八加うへはつ年の
07 加うへふ多つ可さあ利満奈こ能玉徒者く三いてゝ
08 そ能さ支たいら可な利加本加多ちいろ具路く両能
09 保うう奈た連くひゆ加見せいひ支具阿しな可くし
10 てふとし勢な可可ゝま利腹ふくれいてゝ満加連里
11 も能云古と於も志路けな利その時代此いそ本人に

【イソホ 上 一】

12 すく連てみ尓く支物奈支可古とく楚乃うへ才加く
13 又奈ら婦人なしさ連八楚の里にたゝ可ひ於こ徒て
14 たこく乃くんせいみ多連入可能いそ保を加らめと
15 里て八流可能よそへきこえ遣流あてえ流須と云国
16 乃あ利して須といふ人耳う連利可能物の春可多
17 乃み具る志きを三てな須へ幾わさ奈け連八とて我
18 里やうちに徒可八し百性等尓ひとしく牛馬を可八
19 しむるわさをなん於こなふ可くて年へぬ連と
20 さ流へ幾人とも志ら春なん侍利介流折節あ流商人
21 此者を可いと流あ利してすゑた利{か}しこしと可乃
22 商人にう里わ多さる奈越別乃人二人加いそへ以上
古活字版 伊曽保物語 現字体仮名

01 伊曽保物語上
02   第一  本国の事
03 去程にえうらうはのうちひりしやの国とろやと云
04 所にあもうにやといふ里ありそのさとにいそほ
05 といふ人ありけり其ちたひえうらうはのこく中に
06 かほとの見にくき人なし其ゆへはかうへはつねの
07 かうへふたつかさありまなこの玉つはくみいてゝ
08 そのさきたいらかなりかほかたちいろくろく両の
09 ほううなたれくひゆかみせいひきくあしなかくし
10 てふとしせなかかゝまり腹ふくれいてゝまかれり
11 もの云ことおもしろけなりその時代此いそほ人に

【イソホ 上 一】

12 すくれてみにくき物なきかことくそのうへ才かく
13 又ならふ人なしされはその里にたゝかひおこつて
14 たこくのくんせいみたれ入かのいそほをからめと
15 りてはるかのよそへきこえけるあてえるすと云国
16 のありしてすといふ人にうれりかの物のすかた
17 のみくるしきをみてなすへきわさなければとて我
18 りやうちにつかはし百性等にひとしく牛馬をかは
19 しむるわさをなんおこなふかくて年へぬれと
20 さるへき人ともしらすなん侍りける折節ある商人
21 此者をかいとるありしてすゑたり{か}しこしとかの
22 商人にうりわたさるなを別の人二人かいそへ以上
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