古活字版 伊曽保物語 変体仮名

01 屋すくうけこふ狼心屋須くゐ遣る所耳狩人き多
02 徒て八須と利尓申介累八此辺尓狼やきたると多つ
03 ねけ連八八須と利め徒可い尓て古連ををしへ介流
04 可利人そ能所をさとら須八流可於く尓ゆき過た利
05 楚のゝち狼満可利出てい川具とも志ら須尓けさ利
06 ぬあ流とき此於本可め乃者須と利尓ゆき阿ひ介利
07 は須と利申介流八わこ世はい津そやた春遣介流
08 於本かめかといへは狼答云(お本かめこ多へいう)さ連八とよ御辺乃古と
09 八よ可ん奈れと御辺の満なこ八ぬ幾須てたく侍る
10 とそ申遣る其ことくわ連も人毛外によき事越する
11 可本奈能共内心(奈いしん)者奈八多悪多う奈れ八可能八須と利

【イソホ 中 丗七】

12 尓古となら須す三屋可に内心乃遍多てを奈春事
13 なく一心ふらんに善事をすへし
14    丗九  さ流と人の事
15 む可し志やうち支なる人とそら古とをの三いふ人
16 とあ利介利此二人さる乃ある所尓ゆき介利志可流
17 尓あ流木乃もとにさるとも春た奈三ゐて中耳ひ
18 井てをの/\うやましさるあ利可能うそ人さ累
19 乃そは尓ち可つ支て連い乃う楚を申介流八是尓
20 け多かくみえさ世給ふ八ましら王尓て渡世給ふ可
21 そ能外めん/\みえさせたまふ八月けいうんかく
22 尓わ多ら世給ふ可阿ないみし起あ利さ満とそ本め
古活字版 伊曽保物語 現字体仮名

01 やすくうけこふ狼心やすくゐける所に狩人きた
02 つてはすとりに申けるは此辺に狼やきたるとたつ
03 ねけれははすとりめつかいにてこれををしへける
04 かり人その所をさとらすはるかおくにゆき過たり
05 そのゝち狼まかり出ていつくともしらすにけさり
06 ぬあるとき此おほかめのはすとりにゆきあひけり
07 はすとり申けるはわこせはいつそやたすけける
08 おほかめかといへは狼答云(おほかめこたへいう)されはとよ御辺のこと
09 はよかんなれと御辺のまなこはぬきすてたく侍る
10 とそ申ける其ことくわれも人も外によき事をする
11 かほなの共内心(ないしん)はなはた悪たうなれはかのはすとり

【イソホ 中 丗七】

12 にことならすすみやかに内心のへたてをなす事
13 なく一心ふらんに善事をすへし
14    丗九  さると人の事
15 むかししやうちきなる人とそらことをのみいふ人
16 とありけり此二人さるのある所にゆきけりしかる
17 にある木のもとにさるともすたなみゐて中にひ
18 ゐてをの/\うやましさるありかのうそ人さる
19 のそはにちかつきてれいのうそを申けるは是に
20 けたかくみえさせ給ふはましら王にて渡せ給ふか
21 その外めん/\みえさせたまふは月けいうんかく
22    にわたらせ給ふかあないみしきありさまとそほめ
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