古活字版 伊曽保物語 変体仮名 01　其時多ついく多ひくやめとも可ひなくしてう勢に 02　気利そ能古とく人の恩を加うむ里てそ能恩を本う 03　世ん乃三可へ徒天人尓あ多を奈世は天罰たちまち 04　あ多流も能な利古連をさと連 05　　　　五　　むまとお本可め能事 06　あ流馬山中をとを里遣るに狼ゆきむ可つて須て尓 07　此馬をくら八んと須馬計事に申介流八此所に於ゐ 08　て我をえし幾と奈し給はゝ後代のきこえあしか利 09　なん春猶山ふ可く召つ連給へな尓と成共者可らひ 10　給へと申介れ八狼介尓毛と同心春そ能時む満な八を 11　我腹尓徒遣て狼能くひに具く利付て何国へ奈利共 【イソホ　下　五】 12　つ連さ世給へと申介れ八此山八案内志ら須汝道ひ 13　けと云け連八馬申介流八古連八里人行道尓て 14　八なし奥山へ乃すく道と申可連も是毛あゆ三近 15　徒く程尓手津め尓な利て狼た者から連んとや思ひ 16　介んうし路へゑいや徒と志さ利け連八むま八前へ 17　楚ひ徒可け介流さしも尓多けき狼も大のむ満尓は 18　徒よくひ可れぬ世ん可多奈け尓楚行た利遣る主 19　この由を見徒遣てま津狼にい多く者うを楚あ多へ 20　介流そはよ利そこ津人八し里出て可多奈越ぬひて 21　幾らんと春お本加め能婦よ閑利遣んそ能身を八津 22　連てな八をきら連保う／＼と尓介てそかへ利介流

古活字版 伊曽保物語　現字体仮名 01　其時たついくたひくやめともかひなくしてうせに 02　けりそのことく人の恩をかうむりてその恩をほう 03　せんのみかへつて人にあたをなせは天罰たちまち 04　あたるものなりこれをさとれ 05　　　　五　　むまとおほかめの事 06　ある馬山中をとをりけるに狼ゆきむかつてすてに 07　此馬をくらはんとす馬計事に申けるは此所におゐ 08　て我をえしきとなし給はゝ後代のきこえあしかり 09　なんす猶山ふかく召つれ給へなにと成共はからひ 10　給へと申けれは狼けにもと同心すその時むまなはを 11　我腹につけて狼のくひにくくり付て何国へなり共 【イソホ　下　五】 12　つれさせ給へと申けれは此山は案内しらす汝道ひ 13　けと云けれは馬申けるはこれは里人行道にて 14　はなし奥山へのすく道と申かれも是もあゆみ近 15　つく程に手つめになりて狼たはかられんとや思ひ 16　けんうしろへゑいやつとしさりけれはむまは前へ 17　そひつかけけるさしもにたけき狼も大のむまには 18　つよくひかれぬせんかたなけにそ行たりける主 19　この由を見つけてまつ狼にいたくはうをそあたへ 20　けるそはよりそこつ人はしり出てかたなをぬひて 21　きらんとすおほかめのふよかりけんその身をはつ 22　れてなはをきられほう／＼とにけてそかへりける

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