古活字版 伊曽保物語 変体仮名

01 も於徒可け給へわ連尓いさ佐可きすを付さ世給へ
02 志加連ともふ可て八しお本世給ふなと可多くけい
03 屋くして羊をく王へて尓く累所を徒と於徒可けか
04 乃狼をすこし具いやふ利てかへ利ぬ主人是を見て
05 こゝ路よしとて弥ゑし支をあ多へてすくや可尓須又
06 狼来てい満一つ所望春犬申介流八この本と主人
07 よ利あくまてえし支をあ多へら連五体毛すく屋可
08 尓な利候へはえこそまいら須まし起と云者奈し
09 介れ八な尓を可那と能そみ介流本とに犬於しへて云
10 わ可主人の籠尓さ満/\乃ゑし幾有ゆきてもち
11 いと云け連八さらはとて籠に行ま津さ可つ本を

【イソホ 下 十二】

12 見て思ひ乃まゝに古連を乃む乃三酔て後こゝ可し
13 こたゝす三あ利く程に八春と利のう多ふをきゝて
14 可連き多奈けなるものさへう多ふ尓我又うた者て
15 あらんやとて大声あけて於めく本と尓里人きゝ
16 徒遣てあ八や狼のき多る八とてゆ三やなくひ尓て
17 者世あ川満る是尓よて於本加め終に本路保されぬ
18 其古とくめし徒可ふも能耳ふちをく八へさ連者
19 そ能あ流し乃物をつ井や須とみえた利
20    十  狐と狼乃事
21 あ流きつ年子をまふけ遣る尓お保可めを於それて
22 名付おやと佐多む狼承てそ能奈越者けま津と徒遣
古活字版 伊曽保物語 現字体仮名

01 もおつかけ給へわれにいささかきすを付させ給へ
02 しかれともふかてはしおほせ給ふなとかたくけい
03 やくして羊をくわへてにくる所をつとおつかけか
04 の狼をすこしくいやふりてかへりぬ主人是を見て
05 こゝろよしとて弥ゑしきをあたへてすくやかにす又
06 狼来ていま一つ所望す犬申けるはこのほと主人
07 よりあくまてえしきをあたへられ五体もすくやか
08 になり候へはえこそまいらすましきと云はなし
09 けれはなにをかなとのそみけるほとに犬おしへて云
10 わか主人の籠にさま/\のゑしき有ゆきてもち
11 いと云けれはさらはとて籠に行まつさかつほを

【イソホ 下 十二】

12 見て思ひのまゝにこれをのむのみ酔て後こゝかし
13 こたゝすみありく程にはすとりのうたふをきゝて
14 かれきたなけなるものさへうたふに我又うたはて
15 あらんやとて大声あけておめくほとに里人きゝ
16 つけてあはや狼のきたるはとてゆみやなくひにて
17 はせあつまる是によておほかめ終にほろほされぬ
18 其ことくめしつかふものにふちをくはへされは
19 そのあるしの物をつゐやすとみえたり
20    十  狐と狼の事
21 あるきつね子をまふけけるにおほかめをおそれて
22 名付おやとさたむ狼承てそのなをはけまつとつけ
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