古活字版 伊曽保物語 変体仮名 01 よしな支狐申遣る八ふ多里な可らこ能井け多 02 乃中尓て死なんも者可なき事奈れ八者可利古とを 03 めくらしていさやあからんと楚いひ介流野牛毛つ 04 とも登同心春きつ年申遣る八ま津御辺世いを 05 のへ給へ其せな可にの本利て上耳あ可利御辺乃 06 手をと利て上へひ支あけ奉らんといふ野牛遣尓も 07 とて世いを乃へ介流所をきつ年そ能あ多ま越ふ満 08 へてうへ耳あか利王らつて云さても/\御辺八 09 於路可なる人可奈そ能ひけ本とちゑをもち給はゝ 10 わ連い可ゝ世んな尓として可八御辺をひきあけ多て 11 ま津らんやさらはとて可へ利ぬ野牛む奈しくゐ乃 【イソホ 下 十七】 12 もと尓日を於く里てつ井尓者可なくな利尓介利其 13 ことく我も人毛なん支耳あ八ん事八ま津わか難 14 儀を乃か連て後人の難をものそく遍しわ可身地 15 こく丹於ちて他人たのしみをうく連八とてわ可 16 合力尓なるへ幾や古連を思へ 17 十五 あ流人仏を以乃る事 18 あ流人一徒の婦つさうをあんちしてつ年耳名利 19 ふくゆうを以乃流日耳そひてまつし具い屋しく 20 な連ともさら尓そ能利生あ流事奈し古連によて 21 可能人い可徒てふ徒さうをとてうちく多具所耳 22 そ能本とけ乃みくし乃中に金数百両有介利そ乃時 |
古活字版 伊曽保物語 現字体仮名 01 よしなき狐申けるはふたりなからこのゐけた 02 の中にて死なんもはかなき事なれははかりことを 03 めくらしていさやあからんとそいひける野牛もつ 04 ともと同心すきつね申けるはまつ御辺せいを 05 のへ給へ其せなかにのほりて上にあかり御辺の 06 手をとりて上へひきあけ奉らんといふ野牛けにも 07 とてせいをのへける所をきつねそのあたまをふま 08 へてうへにあかりわらつて云さても/\御辺は 09 おろかなる人かなそのひけほとちゑをもち給はゝ 10 われいかゝせんなにとしてかは御辺をひきあけたて 11 まつらんやさらはとてかへりぬ野牛むなしくゐの 【イソホ 下 十七】 12 もとに日をおくりてつゐにはかなくなりにけり其 13 ことく我も人もなんきにあはん事はまつわか難 14 儀をのかれて後人の難をものそくへしわか身地 15 こくにおちて他人たのしみをうくれはとてわか 16 合力になるへきやこれを思へ 17 十五 ある人仏をいのる事 18 ある人一つのふつさうをあんちしてつねに名利 19 ふくゆうをいのる日にそひてまつしくいやしく 20 なれともさらにその利生ある事なしこれによて 21 かの人いかつてふつさうをとてうちくたく所に 22 そのほとけのみくしの中に金数百両有けりその時 |
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