古活字版 伊曽保物語 変体仮名

01 い可に猫そらたま里なし楚なんちか可はを者可連
02 ふんかう乃ふ多尓なるとも下にさ可流まし支そ登
03 いひ介れ八ねこ是非耳於よ八須於幾あ可利ぬそ能
04 ことく一と人をこら須人八い川毛悪人そ登人古連
05 越うとん春多ゝ人八を路可尓して他人耳ぬ可連
06 たる丹しく八奈しかまへてかゝ流すゑ乃世耳人
07 をぬ可んと於もふ事な可連
08    十七  祢す三のたん加うの事
09 あ流時鼡老若男女あひあ川ま利て世んきし介流
10 八い川も可能祢古といふい多津らも能尓本路本さ
11 累ゝときちたひくやめともそ能ゑさ奈し可能ねこ

【イソホ 下 十九】

12 声を多つ累可志可ら須八足をとた可くなと世は
13 可年て用心すへけ連ともひ楚可尓ち可徒支たる程
14 尓由断してとら累ゝ乃三な利い可ゝ八せんといひ
15 け連八こらう乃祢す三すゝ見いてゝ申介流八詮
16 する所祢このくひ尓春々を付てをき侍ら八やすく
17 知なんと以ふ皆々も川ともと同心し介流然ら八
18 こ能うちよ利誰出て可ねこのくひ尓す々をつ遣給
19 八んやといふ尓上らう祢須三よ利下鼠耳い多累
20 まて我津介んと云も能なし是尓よてそ能多ひ乃き
21 ちやう古と於八らて多いさんしぬ其古と具人の
22 気奈け多てをいふも只たゝ三の上能く王う遣ん也
古活字版 伊曽保物語 現字体仮名

01 いかに猫そらたまりなしそなんちかかはをはかれ
02 ふんかうのふたになるとも下にさかるましきそと
03 いひけれはねこ是非におよはすおきあかりぬその
04 ことく一と人をこらす人はいつも悪人そと人これ
05 をうとんすたゝ人はをろかにして他人にぬかれ
06 たるにしくはなしかまへてかゝるすゑの世に人
07 をぬかんとおもふ事なかれ
08    十七  ねすみのたんかうの事
09 ある時鼡老若男女あひあつまりてせんきしける
10 はいつもかのねこといふいたつらものにほろほさ
11 るゝときちたひくやめともそのゑさなしかのねこ

【イソホ 下 十九】

12 声をたつるかしからすは足をとたかくなとせは
13 かねて用心すへけれともひそかにちかつきたる程
14 に由断してとらるゝのみなりいかゝはせんといひ
15 けれはこらうのねすみすゝみいてゝ申けるは詮
16 する所ねこのくひにす々を付てをき侍らはやすく
17 知なんといふ皆々もつともと同心しける然らは
18 このうちより誰出てかねこのくひにす々をつけ給
19 はんやといふに上らうねすみより下鼠にいたる
20 まて我つけんと云ものなし是によてそのたひのき
21 ちやうことおはらてたいさんしぬ其ことく人の
22 気なけたてをいふも只たゝみの上のくわうけん也
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