童 蒙 教 草


巻の一

第一章 動物を扱ふ心得の事

     (イ)子供と蝦蟆との事 寓言

 蝦蟆(カヘル)あまた住(すま)へる池の邊(ほとり)に、大勢の子供来りて池の中へ小石を投げ、二つ玉の三つ玉のとて、数百の小石一時に水に落ち、蝦蟆の難渋ひとかたならず、今にも命危しと共に心配したりしが、そが中に一疋の強き蝦蟆あり。危き場合を恐れもせず、水の面(おもて)に頭(かしら)を出(いだ)して声高らかに云ひけるは、あら慈悲なき子供哉、如何で悪事を学ぶの速(すみやか)なる、君の為には慰なるも、我等が為には一命に関ることなり、よくも物事の道理を勘弁し給ふべしと。


・類話などについて

タウンゼント 52.少年たちとカエルたち

  男の子たちは、池の近くで遊んでいたのだが、池に、カエルの群を見つけると、石を投げつけて、何匹か殺した。
 すると、一匹のカエルが水の中から顔を出して叫んだ。
「子供たちよ、止めるのだ。君たちが戯れでやっていることは、我々の命に関わることなのだ」

Charles42

Ernest Griset p18 牛の争いに怯える蛙

  ある日、一匹の蛙が湖から顔を出して、少し離れた草原を眺めていると、二頭の雄牛が闘っているのを見つけた。すると蛙は仲間にこう言った。
「おい、みんな。我々の身に危険が迫っているぞ」
「どうしたんだい? 何を恐れているの?」一匹の蛙が尋ねた。「奴らが争ったからと言って我々には関係ないだろう? 奴らは群のボスになろうと闘っているだけだよ」
「その通りだ」先の蛙がこう答えた。「それが正に、僕の恐れる理由なんだよ。だってね、この闘いに破れた方は、この沼地に逃げて来るに違いない、そうして我々を踏み殺すんだよ」
  その後、この突拍子もない空想と思われた彼の畏れは現実のものとなった。大勢の痛ましい蛙の死体によって、その正しさが証明されたのだ。
Phaedrus1.30 = Perry485,  La Fontaine 2.4  TMI.J613.2

風に訊け ザ・ラスト 男の想像力。 より   開高 健

 あなたがジョークのつもりで「奈良の牧羊子」と記しているのを読んだとたんに、もう全身がしびれてしまって、物がいえなくなってしまった。イソップの童話に、子供が冗談で、カエルに石を投げた。そうすると、カエルのお母さんが子供に向かって、あなたにとっては冗談かも知れないけれど、私の家族にとっては致命傷です・・・と訴えたという話があります。あなたのこの最後の一句、これはまさにカエルにとっての石です。あたかも脊髄も、背骨も砕かれてしまいました。すこし考え直してから答えるので、時間をください・・・。

このエッセイは、スキャナー連盟会長の 塚原都美 さんに教えていただきました。

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