童 蒙 教 草


巻の二

第十二章 自から満足する事

     (ホ)蝦蟆の仲間に君を立る事 寓言

 蝦蟆(カヘル)の仲間に共和政治の法を立てしが、何れも満足することを知らず、早くも心変りして自主自由の風を厭ひ、何とかして其政事(まつりごと)の様を変んものをと思ひ、乃ち雷の神なる木星を念じ、我仲間に王たる者を下し給へと祈りけり。
 木星を兼て慈悲深き神なれば、成丈け蝦蟆のために災害(わざはひ)の少からんことを思ひ、一片の木の切れを天より送り、これを汝等の王に定むべしとの命に由り、蝦蟆等は大に悦び、この木の切れを王の位に奉りて頻りにこれを敬ひ尊びしが、漸くこれに慣れ、王の心意の温和なるをよきことにして、最早敬ふ心もなく、次第になれ/\しく近づき、遂にはこれを侮り、「斯る者は我仲間の王に為し置き難し」とて、更に又木星に請ひ、別に王たる者を下し給へと願ひければ、木星もこの度は怒り給ひ、さらばとて五位鷺(ごゐさぎ)を遣はしたり。
 五位鷺はあまたの蝦蟆に君とし臨み、位に即きし其日より配下の者を捕へてこれを喰ひ、大に国中を悩ましければ、蝦蟆の難渋は以前に百倍し、こは思の外のことなりとて、又木星に訴へてこの度の王をも取替たまへと歎願したれども、木星は最早この歎願の次第を聞入れずして云く、「汝等が訴る所の難題は、もと汝等が無分別にて自から招きし禍なれば、自から堪忍するより他に方便あるべからず」と。

・類話などについて

タウンゼント 51.王様を求めるカエルたち 

 カエルたちは、自分たちに、支配者がいないのを悲しんで、ジュピター神に使者を送り、王様を賜りたいとお願いした。ジュピター神は、カエルたちが馬鹿なのを知っていたので、太い丸太を池に落としてやった。カエルたちは、その水しぶきにびっくりして、池の深みに隠れた。しかし、彼らは、丸太が動かないことに気付くと、水面に出てきて、今まで怯えていたのも忘れて、丸太の王様に上がり馬鹿にして座り込んだ。
 しばらくすると、カエルたちは、こんな、動かない王様を戴いているのは、こけんに関わると思い、ジュピター神に、二番目の使者を送って、別な王様を戴きたいとお願いした。そこでジュピター神は、支配者として、ウナギを使わした。しかし、カエルたちは、ウナギの御しやすい性質を見て取ると、三度目の使節を送って、またしても、別な王様を与えてくれるようにとお願いした。ジュピター神は、カエルの度重なる申し立てに、腹を立て、今度は、サギを送り込んだ。
 サギは、来る日も来る日もカエルを捕らえて食べたので、池には、クレロ・クレロと鳴いて不平を言う者は、一匹もいなくなった。

Perry44 Chambry66 Phaedrus1.2 Caxton2.1 エソポ1.12 伊曽保2.25 Houston13 Charles15
La Fontaine 3.4  Krylov2.1 狐ラインケ1.24 TMI.J643.1 Type 277 (Aesop)(Ph)


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