ESOPONO FABVLAS.

 

ESOPONO FABVLAS.

466.
        Vo>cameto, qitcuneno coto.                              03

  Aru qitcune cauabatani yte vuouo xocusuru toco
roni, vo>came vyeni nozo>de socoye qite yu<ua: vare    05
nisono vuouo cuuaxei: qitcune cotayete yu<ua: sore
gaxino cuinocoitauoba nanto xite mairaxo>zo? ca-
gouo fitotcu cudasareba, vonozomino mamani vuo
uo toru cho>guiuo voxiye mo<so<zuruto yu<: vo>came
soreua naniyori yasui coto giatote, chicai satoyori ca      10
gouo totte qita. Qitcune cano cagouo vo>cameno vo
saqini cucuritcuqete coreuo cono cauano vchide sa-
qiye ficaxerarei, varera atoyori vuouo vojireo>zuruto
iyeba, vo>came guenimoto yoroco>de mizzuno naca
ni tobjitte voyogui yuqu: qitcune atocara ixiuo fita          15
mo(n)o tori iruruni yotte, xidaini vomo> natte fitoaxi
mo ficarenuni yotte, atouo micayeri vuoga vouo> it
tayara, faya saqiye yuqucotoga cana(u)anuga nantoto
to>ta: qitcune macotoni quabunni vuoga itte go
zaruni yotte, vareraga chicaradeua fiqiague gatai: sa-     20
raba tarezo co<riocuni yatouo<tote, chicai satoni yuite,
cono atarino fitcujiuo curo< vo>came tadaima mizzu
ni voborete xino<to suruzo, fitobito qite coroxeto no
noxireba: vare saqinito faxiri yuite, cauano nacana

467.
vo>cameuo sanzanni cho<chacu suruni: arufito catana
uo nuite qiro<to xitaga, qirifazzuite vouo vchiqitta
reba: carai inochi bacari iqite yamaye itta. Mata so-
no jibun qedamonono vo<de aru xixi yamaixite dai
jini qiuamaruni yotte, izzuremo qedamonodomo               05
cubisuuo tcuide, sono yamani xico>suru. Sono naca
ni vo>cameno dete yu<ua: vare conofodo meiyni tcuta
yemo<xita cotoga aru: cono von vazzuraino bio<xo<ni
ua to<motmo, vayacumo mochiyuruni taranu. Tada
qitcuneno iqigauauo faide, mada sono atatamari no          10
samenu vchini finicuuo tcutcumi, atatame saxerare-
ba, gofeiyu< aro<zuruto. Xicaruuo sono fenni qitcune
no anaga atte fisocani qijte, buriacuuo xo>tote jentai
uo dorono vchini naguete, miguruxu< qegarete,
xixivo< no mayeni caxicomatta. Xixi qitcuneuo ma-          15
neqi, chico< coi, iuo<zuru cotoga aru: connichiyori
vareuo vaga tcumato sadameo>to yu<tareba, qitcune
cotayete yu<ua: vo>xeua ameyama catajiqenaito iyedo
mo, gora~jeraruru gotoqu, amarini doroni qegarete go
zauomo fujo<ni naxitatematcuraba, iyoiyo vovazzu           20
raino mototomo naro<zu: xicaraba macari cayette mi
uomo qiyomete mairo<zuruto iyvouattecara, vare
conogoro corerano vovazzuraini mio<yacuga aru
cotouo naro<te gozaru: tadaxi arumajijcoto nareba,

468.
ro<yacuto mo<xitemo yeqinaicotoca, xenmanni fito
tcumo aruni voiteua, vo>cameno vono qiretauo totte
iqigauauo faide, mada atatamarino samenu vchini fi-
nicuuo tcutcumaxerareba, mottomo qimeo> fuxi-
guina cusuri giato yu<ta tocorode, sono sobani cudan        05
no vo>camega ytauo, tachimachi tcuco<de fiqiyoxe, vo
moteto, xusocuno caua bacariuo nocoite marufaguini
faide, xixino jentaiuo tcutcumi, vo>cameuoba s(o)noma
masaxifanaita. Vorifuxi natcuno coro (n)areba: ari, faiga
muragatte xexeru fodoni, vo>cameno canaximiua ta           10
da fitotcudemo nacatta. Sate cuda~no qitcune aru vo
cani yasunde yru tocoroni, cano vo>came auareto yu<
mo vorocana teide suguiyuquuo mite, qitcunega yo
bicaqete yu<ua: tadaima cafodono yentenni zzuqin
uo catcugui, tabiuo faqi, yugaqeuo saite cocouo su-           15
guruua tarezoto sanzanzanni azaqeri: icani vo>came
yo> qiqe, fitono vyeuo vttayuru monoua, chiuo fu-
cunde fitoni faqicaquruto vonaji coto gia(:) faqicaqeo>
to suru yorimo, mazzu sono cuchiuo qegasuto yu<
cotoga aru: chu<guenuocoso yeiuazutomo, xeme                20
te zanguenuo faqunato yu<tato mo<su.

        Xitagocoro.

  Zanxano tcuini miuo gaisuruua, sonomino cuchi
yuye giato yu< cotouo vomoye.


エソポのハブラス1.24 (466.03--468.24)

オウカメと、キツネのこと。

 あるキツネ川端に居て魚(うお)を食(しょく)するところに、オウカメ上に臨うでそこへ来て言うは、「我にその魚を食わせい、」キツネ答えて言うは、「某(それがし)の食い残いたをば何として参らしょうぞ? 篭を一つ下されば、お望みのままに魚を捕る調儀(ちょうぎ)を教え申そうずる」と言う、オウカメ「それは何より易い事ぢゃ」とて、近い里より篭を取って来た。キツネかの篭をオウカメの尾先に括りつけて「これをこの川の内で先へ引かせられい、我ら後より魚を追い入りょうずる」と言えば、オウカメ「げにも」と喜うで水の中に飛び入って泳ぎ行く、キツネ後(あと)から石をひたもの取り入るるによって、次第に重うなって一足(ひとあし)も引かれぬによって、後を見返り「魚が多う入(い)ったやら、はや先へ行くことが叶わぬが何と」と問うた、キツネ「まことに過分に魚が入(い)ってござるによって、我らが力では引き上げ難い、さらば誰(たれ)ぞ合力(こうりょく)に雇わう」とて、近い里に行(ゆ)いて、「この辺りのヒツジを食らうオウカメただいま水に溺れて死のうとするぞ、人々来て殺せ」とののしれば、我先にと走り行(ゆ)いて、川の中な/オウカメを散々に打擲するに、ある人 刀を抜いて斬ろうとしたが、斬り外いて尾をうち切ったれば、辛い命ばかり生きて山へ入(い)った。

またその時分 獣(けだもの)の王であるシシ 病(やまい)して大事に窮まるによって、いづれも獣ども踵(くびす)を接いで、その山に伺候する。その中にオウカメの出て言うは、「我 このほど名医に伝え申したことがある、この御患いの病症には唐物(とうもつ)も、和薬も用ゆるに足らぬ。ただキツネの生皮(いきがわ)を剥いで、まだその暖まりの冷めぬうちに皮肉を包み、暖めさせられば、御平癒(ごへいゆう)あろうずる」と。しかるをその辺にキツネの穴があって密かに聞いて、武略をしょうとて全体を泥の内に投げて、見苦しゅう汚(けが)れて、シシ王の前にかしこまった。シシ キツネを招き、「近う来い、言わうずる事がある、今日(こんにち)よりわれを 我が妻と定みょう」と言うたれば、キツネ 答えて言うは、「仰せは天山(あめやま)かたじけないといえども、ご覧ぜらるる如く、余りに泥に汚れて御座をも不浄になし奉らば、いよいよお患いの元ともなろうず、しからばまかり帰って身をも清めて参ろうずる」と言い終わってから、「我 この頃これらのお患いに妙薬があることを習うてござる、ただしあるまじいことなれば、/良薬(ろうやく)と申しても益ないことか、千万に一つもあるにおいては、オオカメの尾の切れたを取って生皮(いきがわ)を剥いで、まだ暖まりの冷めぬ内に皮肉を包ませられば、最も奇妙不思議な薬ぢゃ」と言うたところで、そのそばに件のオウカメがいたを、たちまち掴うで引き寄せ、面(おもて)と、手足(しゅそく)の皮ばかりを残いて丸剥ぎに剥いで、シシの全体を包み、オウカメをばそのままさし放いた。折節夏の頃なれば、アリ、ハイが群がってせせるほどに、オウカメの悲しみはただ一つでもなかった。

さて件のキツネ ある丘に休んでいるところに、かのオウカメ憐れというも愚かな体で過ぎ行くを見て、キツネが呼びかけて言うは、「ただいまかほどの炎天に頭巾をかつぎ、足袋を履き、弓懸(ゆがけ)をさいてここを過ぐるは誰(たれ)ぞ」と散々に嘲り、「いかにオウカメ よう聞け、人の上を訴ゆる者は、血を含んで人に吐きかくると同じことぢゃ、吐きかきょうとするよりも、まづその口を汚すということがある、忠言をこそえ言わずとも、せめて讒言を吐くな」と言うたと申す。

    下心。

 讒者のついに身を害するは、その身の口故ぢゃということを思え。


注:
468.16 sanzanzanni さんざんざんに → sanzanni さんざんに(散々に)



・類話などについて

イソップ寓話集 伊藤正義訳 岩波ブックセンター 
キャクストン 5.9 狐と狼とライオン

 たとえ他人に危害を加えられても、中傷の言葉を口にすることによって復讐してはならない。その理由は、かかる復讐は不正だからである、作者が私たちに語る次の寓話のように。
 あるとき狐が川で魚を食べていた。そこへ狼が通りかかり、むしゃむしゃ魚を食べている狐を見て、こう話しかけた。「兄弟よ、その魚を分けてくれないか」狐はこう答えた。「ああなんと、狼の旦那、あなたは私の食べ残しなど召し上がってはなりません。あなたさまに敬意を表して、よいことをお教えいたしましょう。籠を一つご用意ください。そうすれば、あなたが空腹になられたときいつでも魚が食べられるように、魚の取り方をご伝授いたします」そこで狼は街へ行って、籠を一つ盗んできた。狼は籠を受け取ると、それを綱で狼の尻尾に結わえつけた。そしてしっかり結んでから、狼にこう言った。「あなたは川の中を進んでください。籠は私が木をつけていますから」狼は狐に言われたとおりにした。そして狼が川の中を進んでいるとき、狐は意地悪く籠に石ころを一杯詰めた。そして詰め終わると、狼に言った。「旦那、まったくのところ、私にゃあもう籠を持ち上げることも支えることもできませんや。魚がぎっしり詰まったんですよ」そこで狼はその言葉を真に受けて、こう言った。「君の魚捕りのすばらしい知恵と技を拝見することができたことを神に感謝するよ」すると狐は言った。「旦那、ここで待っていてください。籠から魚を取り出す手伝いをしてくれる者を連れてまいりますから」こう言うと狐は街へ走って行って、そこで見つけた男たちにこう言った。「あんたがたはこんなところで何をしているんです。どうしてぶらぶらしているんです。あそこにいる狼をごらんなさい。あいつはあんたがたの羊や子羊や家畜を食べた奴です。
 そしていま奴は川にいるあんたがたの魚を生け捕りにして食べているんですよ」そこで男たちは、ある者は投石器を、ある者は弓を、またある者は棒を携えて川辺へ集まってきた。そして狼を見つけて、めちゃくちゃに痛めつけた。哀れな狼はさんざん打たれ苦しめられたので、魚を持ち去ろうとして、力まかせに籠を引っ張った。その結果、尻から尾を引き抜いてしまい、かくて狼は命からがら逃げ去ったのであった。

 さて一方、百獣の王であるライオンが重い病気にかかった。そのため獣たちはみなこの主君を見舞いに行った。例の狼もまたライオンのところへ行こうと考えた。彼は主君にお辞儀をし、それからこう言った。「王様、ごきげんよろしゅうございます。どうかお聞きくださいまし。手前は陛下のご健康を回復させるべく、良薬を探して津々浦々をめぐりましたが、ご病気に効くような薬はまったく見つかりませんでした。ただひとつ、高慢で意地悪な狐めの毛皮だけは、お体に効くことが分かりました。しかし奴はお見舞いに伺おうともいたしません。どうか奴をひそかにお呼び寄せくださいまし。そして奴を捕らえて、その皮を剥ぎ取り、あとは奴を勝手に行かせてください。奴の美しい毛皮はひじょうに効きます。どうぞそれをおなかにお巻きになってください。そういたしますれば、陛下は数日のうちに元通りの丈夫なお体に戻られます」こう言うと、狼はライオンに暇乞いして去った。だか彼は、よもや狐が盗み聞きしていたとは思わなかった。実は、狐はライオンの宿の近くの自分の穴にいたので、狼の提案の一部始終が聞けたのである。そこで狐は用意周到な対策を考え出した。すなわち、狼がライオンの宿を出て行くやいなや、狐は原っぱへ行った。そして広い道で大きな肥やしの山を見つけて、その中にもぐり込んだ。そしてかねての考えどおり、糞まみれになって、そのなりでライオンが住む穴へやってきた。

 狐はライオンに向かって主君に対してなすべき挨拶をして、「獅子王さま、ごきげんよろしゅうございます」と言った。ライオンは狐に、こう答えた。「愛する友よ、ごきげんよう。そばへ来てキスしてくれ。その後でそちに誰にも知られたくないある秘密を教えたいのじゃ」これに対して狐はこう言った。「陛下、どうかお気を悪くなさいませぬように。私はお体に効く薬を探し求めて、長い旅をしてまいりましたので、体じゅう汚れたきたない身なりをしております。それゆえ御前間近に参るわけにはまいりません。この肥やしの臭いは、病篤き陛下にとりまして大いなる苦痛となるからであります。しかしながら、私が陛下のおそばに参ることが御意に召しますならば、私は水を浴びてきれいになって戻ってまいります。それから御前にまかり出たく存じます。ではございますが、私が行きますまえにご承知おき願いたいことは、私は、陛下のご病気を癒すのに必要な何かよい薬が見つかりはせぬかと、この地方一帯、さらにはすべての隣国を旅してまいった者だということでございます。しかしながら、あるギリシアの古老の助言にまさる助言はございませんでした。彼は長く立派なひげを蓄えた称賛すべき大賢者でありましたが、私にこう申したのであります。
『かの地には尾の無い狼がおる。そ奴は体内に存する偉大なる薬効により、おのが尾を失ったのだ』かるがゆえに、陛下は麗しきご尊体のご回復のため、この狼を出頭させるのが得策かつ必要かと存じます。奴がやってまいりましたならば、『そちにとって大いなる名誉となり利益となる話がある』と偽って呼び寄せ、奴がお近くにまいりましたならば、武装したお前足をお掛けになって、奴の頭と足の部分を残して体じゅうの皮をぐるりと剥ぎ、それをお手元に、それから奴を行かせて、運にお任せください。そしてただちにその生ま温かい皮をおなかにぐるりと巻いてお縛りなさいまし。そういたしますれば、たちどころにご健康を回復され、元どおりの元気なお体におなりになります」こう言って狐は王者ライオンに暇乞いして立ち去り、ふたたび自分の住みかに戻った。ほどなくして狼がライオンを見舞いに来た。そこでライオンはただちに彼を秘かに呼び寄せた。そして彼の体に前足をそっと掛けると、その皮を、頭と足の部分を除いて剥ぎ取ってしまった。それからライオンはまだ生ま温かいその皮を腹にぐるりと巻いたのであった。かくて狼は赤むくれのまま逃げ去った。そのために蝿にひどく悩まされて、追い払うのにえらい苦労をした。そして蝿に肉を食われるという激しい苦痛のため、彼は気が狂ったように駆け出し、狐がいた丘の下を通った。これを狐が見つけた。そして大声で狼に呼び掛け、嘲笑い、馬鹿にしながら、こう言った。「おつむに綺麗な頭巾を被り、お手々に綺麗な手袋をはめたあなたは一体どなた? いいかね、私の言うことをようくお聞き、『汝王の館に出入りするときは、主君を称えよ。汝宮廷にあるときは、汝が耳にするあらゆる賛辞を口にせよ』それゆえ相棒よ、よかれあしかれ、万事成り行きにまかせ、逆境をじっと耐えねばならんのだ」

 以上のように、この寓話は、誰かに危害を加えられたとしても、相手を裏切ったり相手を傷つけ公然と非難するような言葉によって復讐してはならない、ということを私たちに教えているのである。よく考えなければならないのは、誰でも兄弟のために穴を掘る者は、しばしば自分自身がその穴に落ち、他人のために作った鞭で自分が打たれるということである。

Perry698

Type2B=K1021.2 狼の尻尾に篭が結ばれ、石がいっぱい詰め込まれる。狼は、そこに魚がいっぱい入っているのだと信じ込まされる。

ペリー625 魚を捕る狼と狐

  狼が、狐に出会い、何処へ行ってきたのかと尋ねた。すると狐は、
「池で、上等な魚を捕まえて、たらふく食べて帰ってきたところですよ」
狼が、どうやって魚を捕まえたのかと尋ねると、狐はこう答えた。
「尻尾を水のなかに垂らして、長いことそうしているのです。魚たちが、尻尾を食べ物と思って、食いついてきたら、地面に引き上げ、そして食っちまうのですよ」
「俺も、できるだろうか?」狼が尋ねると、
「もちろんですとも」と狐が答えた。「力が強いのですから、私などよりも沢山捕れますよ」
こうして狼は、魚の棲む池へと急ぎ、尻尾を水の中に垂らした。水は大変冷たかったが、狼は辛抱強かった。かなりの時間が過ぎ、たくさん魚が、狼の尻尾に食いついた。そこで、狼は尻尾を引き抜こうとした。が、しかし、尻尾は抜けなかった。尻尾はカチンコチンに凍っていたのだ。狼は池に捕まえられてしまったのだ。朝が来て、人間たちがやってきて、狼を死ぬほど殴りつけた。狼は、命辛々逃げ失せたが尻尾を失ってしまった。狼は狐を呪った。魚が捕れる請け合った、その結果は、撲ちのめされて、ひどい怪我。

Type2=K1021 尻尾の釣り。 熊は氷の穴に尻尾を入れて魚を釣るように説得される。彼は襲われて逃げようとした時、尻尾を失う。

日本昔話通観インデックス 535A  尻尾の釣り-魚盗み型
狐が、路上で死んだふりをしていて魚屋の車に拾い上げられ、魚を盗んで逃げる。熊が狐に魚の取り方を尋ねると、狐は、寒い夜に川に尻尾をつけて釣れ、と教える。熊が教えられたようにして釣ると、尻尾がこおりついて切れる。

Type1 魚泥棒 

こがね丸 第十一 巌谷小波

 さてその翌朝(あけのあさ)、聴水は身支度(みじたく)なし、里の方(かた)へ出で来つ。此処(ここ)の畠彼処(かしこ)の厨(くりや)と、日暮るるまで求食(あさ)りしかど、はかばかしき獲物もなければ、尋ねあぐみて只(と)ある藪陰(やぶかげ)に憩(いこ)ひけるに。忽ち車の軋(きし)る音して、一匹の大牛(おおうし)大(おおい)なる荷車を挽(ひ)き、これに一人の牛飼つきて、罵立(ののしりた)てつつ此方(こなた)をさして来れり。聴水は身を潜めて件(くだん)の車の上を見れば。何処(いずく)の津より運び来にけん、俵にしたる米の他(ほか)に、塩鮭干鰯(しおざけほしか)なんど数多(あまた)積めるに。こは好(よ)き物を見付けつと、なほ隠れて車を遣(や)り過し、閃(ひら)りとその上に飛び乗りて、積みたる肴(さかな)をば音せぬやうに、少しづつ路上(みちのべ)に投落(なげおと)すを、牛飼は少しも心付かず。ただ彼(かの)牛のみ、車の次第に軽くなるに、訝(いぶか)しとや思ひけん、折々立止まりて見返るを。牛飼はまだ暁得(さと)らねば、かへつて牛の怠るなりと思ひて、ひたすら罵り打ち立てて行きぬ。とかくして一町ばかり来るほどに、肴大方取下してければ、はや用なしと車を飛び下り。投げたる肴を一ツに拾ひ集め、これを山へ運ばんとするに。

狐物語 ルナールと魚屋
狐ラインケ1.03
Robert Henryson 9 魚の行商人を騙した狐と狼
スペイン民話集 63 生きながら皮を剥がれた狼

日本昔話通観インデックス 535B 尻尾の釣り-仕返し型
狐がかわうそに魚をごちそうされ、かわうそを招く番になると、今夜は天守りだ、今夜は地守りだ、などとごまかしていつもふるまわない。狐がかわうそに魚の取り方を聞くと、かわうそは、寒い夜川に尻尾をつけて釣れ、と教える。狐が教えられたようにして釣ると、尻尾がこおりつき、人に捕まりかけて尻尾を切って逃げる。

タウンゼント 236.ライオンとオオカミとキツネ

 年老いたライオンが、病気になって巣穴で横たわっていた。あらゆる動物たちが、自分たちの王であるライオンを見舞ったが、キツネだけは見舞いに来なかった。するとオオカミは、願ってもない機会とばかりに、キツネの奴は、支配者であらせられるあなた様を蔑ろにして、見舞いにもやってきません。と讒言した。と、まさにその時、キツネがやって来て、その讒言を耳にした。
  ライオンは、キツネに腹を立て、うなり声を轟かせた。キツネはなんとか身を守ろうと機会を窺ってこう言った。
「あなたをお見舞いした者たちの中に、私のように役立つ者はいたでしょうか? 実は私は、あなたを治す手だてを教えてもらおうと、あらゆる地方をくまなく旅して探し回ったのです。」
 ライオンはすぐに、その治療法を教えるようにと命じた。そこでキツネはこう答えた。
「活きのよいオオカミの毛皮を剥いで、その皮で身をくるんで暖めるのです」
 オオカミは、すぐに捕まえられて皮を剥がれた。そこでキツネは、オオカミに向かってにこやかに言った。
「主人を悪ではなく、善き方に導くが肝要である」

Perry258 <Perry585 病気のライオンと狐と熊> Chambry205  Caxton5.9  伊曽保3.6 La Fontaine8.3
狐ライネケ3.12  (Aesop)

Type50 病気のライオン。 狐はライオンのために治療法を探し求める振りをする。狼の皮で治療するようにと助言する。

K961 ある動物の肉が病気の唯一の治療法であると言われる。 この治療のために動物は殺される。(病気のライオン)

K961.1.1 しっぺ返し、狼は病気のライオンに「狐はライオンのことを蔑ろにしている」と讒言する。狐はその話を耳にする。 後に狐は、ライオンに病気の唯一の治療法は、狼の皮に身を包んで横になることだと言う。 狼は殺される。

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