万治版 伊曽保物語 変体仮名
図15
【伊曽保下 〇丗七 終】
01 石放給へ。安引上奉らんと云。僧盗人尓申遣る八。され八゛こそ御
02 辺の祈念をい多須も。此如候よ。い可に祈を奈須といへ共。先御
03 身の悪念能石を者奈連給八須゛候程尓。鉄能縄尓て引上
04 程の祈を春れ八゛とて。可年の縄八きるゝ共。御辺の如く徒よき
05 悪念八。善人尓成難候と被^申遣れ八゛。盗人打う奈徒゛い天。可の
06 僧越引上奉り。足本尓ひ連ふして。実も哉とて。其よ利
07 もとゆひ切。即僧の弟子と成天。やんこと奈き善人とぞ
08 成尓遣り。此経を三ん人八。慥尓思^之。ゆる可゛せ尓春ること奈可れ
09 伊曽保物語下終
10 萬治弐年 己亥 正月吉日
11 伊藤三右衛門開板
| 万治版 伊曽保物語 現字体仮名
図15
【伊曽保下 〇丗七 終】
01 石放給へ。安引上奉らんと云。僧盗人に申けるは。さればこそ御
02 辺の祈念をいたすも。此如候よ。いかに祈をなすといへ共。先御
03 身の悪念の石をはなれ給はず候程に。鉄の縄にて引上
04 程の祈をすればとて。かねの縄はきるゝ共。御辺の如くつよき
05 悪念は。善人に成難候と被^申ければ。盗人打うなづいて。かの
06 僧を引上奉り。足本にひれふして。実も哉とて。其より
07 もとゆひ切。即僧の弟子と成て。やんことなき善人とぞ
08 成にけり。此経をみん人は。慥に思^之。ゆるがせにすることなかれ
09 伊曽保物語下終
10 萬治弐年 己亥 正月吉日
11 伊藤三右衛門開板
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