ESOPONO FABVLAS.460. エソポのハブラス1.19 (460.17--462.11)鳥と、獣のこと。 鳥と、獣(けだもの)の仲が不和になって、弓箭(きゅうせん)に及ぶことがあった。その時鳥類度々利を失うて、気を飲み、声を飲むところに、コウモリ手を変えて獣の方(かた)へ降参するによって鳥類の陣にはいよいよ力を落とし、「敗軍も遠からぬ体ぢゃ」とひそめくところに、ワシという荒武者が進み出て高らかに言うは、「各々は/何事をお侘びあるぞ? 戦(いくさ)は勝負のことなれば、勝つも、負くるもただ時の運によることぢゃ。小勢(こぜい)をもって大勢に勝つことはその例(ためし)が無いでもない、たとい鳳凰、孔雀の手を変えらるるとも、我らが一族のあろうほどで、無下に敗軍することはあるまじいに、いわんやコウモリづれの臆病者どもが五万十万敵についたればとて、戦場へ出でては一羽(ひとは)もえ追うまいぞ、いざさらば今度は我らが一門先を駆けて戦を始みょうずる。各々後(あと)を黒めさせられい」とさも頼もし気にののしって行けば、諸鳥もこれに気を直いて、獣の陣へ押し寄するに、獣 元から待ちかけたことなれば、時も移さず、打って出て、いつもの如くしたれども、今度はワシの調義(ちょうぎ)をもって戦に花を散らすによって、獣も多いといえども、かねて評議をせなんだによって、散々に斬りたてられ、精兵数多(せいびょうあまた)討たせ、風に木の葉の散るように、東西に敗北(はいほく)した。この後(のち)鳥も、獣も義兵をやめて、和与(わよ)の調えをないて、広い野辺に出逢(や)うて参会した。その時鳥類申したは、「今度互いの戦に誰(たれ)とても別心(べっしん)を企(くわた)てた者はないにコウモリが野心は前代未聞/の重罪ぢゃによって、今日(こんにち)より鳥類の一門を破(は)っするぞ」と言うて、鳥の衣装を剥ぎ取り、白昼に徘徊することも許されず、ようよう辛(から)い命ばかりを助かって退出した。 注: ・類話などについて タウンゼント 239.鳥と獣とコウモリ鳥と獣たちが戦争をしていたのだが、両陣営は、ともに、勝ち負けを繰り返していた。コウモリは、先の見えない戦いに不安を感じ、いつも、優勢な陣営の側について戦った。しかし、平和の宣言がなされた時、コウモリの卑怯な行状が、両軍に知れ渡ることとなった。その裏切り行為は、両陣営から糾弾され、コウモリは、白日の下から追放されてしまった。それからというもの、コウモリは、暗い隠れ家に身を隠し、夜、一人っきりで飛ぶようになった。 Pe566 Cax3.4 伊曽保2.33 Hou24 Charles46 TMI.B261.1 Type 222A (Ph) L’Estrange 42 駝鳥と鳥と獣たち駝鳥は半分は鳥で半分は獣であると見なされる生き物です。鳥と獣が戦争をしていた時のことである。この二つの性質を持った生き物は、両派の敵として、同じ日に二度捕まった。鳥たちは、彼を獣として捕まえようとし、獣たちは彼を鳥と判断したのだ。しかし、彼は鳥ではないと証明するために足を見せ、動物ではないことを証明するために、羽と嘴を示した。彼は鳥にも獣にも見えたので、両者は納得したのだが、しかし、実際は、彼は鳥でも獣でもなかったのだ。教訓: 時として日和見とは忌むべき不道徳な行為である。しかし別な時には、称賛される。そしてまた別の時には、不正直であるのでしてはならない行為であ。時と場合と程度に於いて、それらを区別するのが難しいところである。 Perry 418 タウンゼント 2.コウモリと二匹のイタチコウモリが、地面に落っこちてイタチに捕まった。コウモリは、命ばかりはお助けを……と懇願した。しかしこのイタチは生まれてこの方ずうっと、鳥と戦ってきたと言うのだ。そこでコウモリは、自分は鳥ではない……ネズミだと言い張った。それを聞いてイタチは、コウモリを逃がしてやった。それからまもなく、コウモリは、また、地面に落っこち、そしてまたしても、イタチに捕まってしまった。 コウモリは今度も……命ばかりはお助けを……と懇願した。しかし今度のイタチは、ネズミを大変憎んでいると言う……。そこでコウモリは、自分はネズミではなくコウモリだと言った。 こうして、コウモリは、二度までも窮地を脱した。 賢い人は、その場その場でうまく立ち回る。 Pe172 Cha251 Charles29 Laf2.5 (Aesop) 日本昔話通観インデックス 484 こうもりの二心(ふたごころ)鳥と獣の戦で、こうもりは、鳥がかちかけると、私には羽がある、と鳥に味方をし、獣が勝ちかけると、私は鼠と同族だ、と獣に味方をする。鳥と獣が仲直りをしたあと、こうもりは鳥にも獣にも嫌われ、昼を避けて飛び、逆さになって詫びて寝るようになった。ペリー685 ブタたちの中にいるアナグマ森にドングリがたくさんなった年のこと、ブタは、森へと放たれた。その森に元々住んでいたアナグマは、ドングリを餌にしていたのだが、ドングリが食い尽くされたのを知ると、自分はブタの仲間だと主張して、彼らの牧草地へと入って行った。その後、アナグマは丸々と肥えたブタが、屠殺されるのを見て、自分も同じ運命を辿ることを恐れて、肉屋に言った。 「あなたは、私を殺してはなりません。なぜなら、私はイヌの仲間だからです。私の肉は人間が食べるには不向きです」 アナグマはそう言うと、鈎爪をかざし、イヌのまねをして、大地を引っ掻き出した。 注: 農民は秋になると家畜として飼っていた豚を近くの森に連れてゆき、樫の木の下でその実(どんぐり)をたらふく食べさせた。ときには農夫が棒で枝をたたいたり、下から棒を投げつけたりして、実をバラバラと落としたりした。そして秋の終わりから冬の初めにかけて、まるまると太った豚や羊を殺し、長い冬に備えてその肉を塩漬けにしたり薫製にしたりして貯蔵したのである。 (狐物語の世界 東京書籍 P158 原野昇 , 福本直之 , 鈴木覚 著) |
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