古活字版 伊曽保物語 変体仮名 01 廿二 かい流と牛乃事 02 あ流河乃本と里耳牛一疋こゝ可しこへえしきを 03 もとめあ利き侍し尓可い流古連を三て心尓思ふ 04 やうわ可身をふくらしな八可奈ら須もやあの牛乃 05 せい本と奈利なんと於もひてき徒とのひあ可利身 06 乃可はをふくらして子とも尓む可川て今八此牛乃 07 世い本とな利遣るやとたつ年介れ八子ともあさ王ら 08 ひて云いま多其くらゐなしはゝ可利な可ら御辺八 09 牛耳尓た利給八須満さしく可ふら乃な利にこそ 10 みえ侍利け連御可はのちゝみたる所侍る程にいま 11 すこしふくれさ世給者ゝあ乃うしのせい耳なり 【イソホ 下 廿四】 12 たまひなんと申け連八可い累答て申さくそれこそ 13 いとや須支事奈れといひて力於よひゑいや徒と 14 身を婦くらしけ連八思ひの外尓可八俄尓やふ連 15 て者ら八多出てむ奈し具な利丹介利そ能ことく於 16 よはさる才智位を望む人八のそむ古とをえ須終尓 17 をの連可思ひ故に可へ徒天我みを本路本春事有也 18 廿三 王らんへと盗人の事 19 あ流井乃そは尓童子一人ゐた利し可阿なたこ奈 20 たをなかめ遣流間にぬ春人一人八し里来てこ能わ 21 らんへを見て心尓思ふやう阿なう連しこ能者乃 22 い志やうを者きとら者やとおもひて近付侍る程尓 |
古活字版 伊曽保物語 現字体仮名 01 廿二 かいると牛の事 02 ある河のほとりに牛一疋こゝかしこへえしきを 03 もとめありき侍しにかいるこれをみて心に思ふ 04 やうわか身をふくらしなはかならすもやあの牛の 05 せいほとなりなんとおもひてきつとのひあかり身 06 のかはをふくらして子ともにむかつて今は此牛の 07 せいほとなりけるやとたつねけれは子ともあさわら 08 ひて云いまた其くらゐなしはゝかりなから御辺は 09 牛ににたり給はすまさしくかふらのなりにこそ 10 みえ侍りけれ御かはのちゝみたる所侍る程にいま 11 すこしふくれさせ給はゝあのうしのせいになり 【イソホ 下 廿四】 12 たまひなんと申けれはかいる答て申さくそれこそ 13 いとやすき事なれといひて力およひゑいやつと 14 身をふくらしけれは思ひの外にかは俄にやふれ 15 てはらはた出てむなしくなりにけりそのことくお 16 よはさる才智位を望む人はのそむことをえす終に 17 をのれか思ひ故にかへつて我みをほろほす事有也 18 廿三 わらんへと盗人の事 19 ある井のそはに童子一人ゐたりしかあなたこな 20 たをなかめける間にぬす人一人はしり来てこのわ 21 らんへを見て心に思ふやうあなうれしこの者の 22 いしやうをはきとらはやとおもひて近付侍る程に |
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