古活字版 伊曽保物語 変体仮名 01 盗人の悪念をさとつていと可奈し支気色をあら八 02 してなく/\ゐた利し可ぬ春人是を三て何事共志 03 ら須よ能つ年乃可なしひ尓はあら須いとふ敷覚え 04 てさしよ利てい可なる事を可那しむとい遍八 05 わらんへ云やう誠尓はな尓を可かくし申さん心 06 尓うき事あ利たゝ今黄金乃徒るへを毛つて水を 07 具まんとする所耳俄にな八可き連て井と耳 08 於ち入ぬち多ひたつ年毛とむ連とも世ん可多奈し 09 い可尓して可主人能まへ尓て申へ幾やと云け連八 10 ぬ春人是をきゝておもて尓は阿八連尓可奈し幾 11 ふ利をあら八してなくさめて云いと屋須き事哉 【イソホ 下 廿五】 12 我そこへ入てひ支あくへ介れ八汝い多く奈けくへ可 13 ら須わらんへ古連をきゝてう連しくて涙を乃こひ 14 てたのみ尓介利そ能時ぬ春人幾流物をぬきて於き 15 井との中に於利てこ々可しこ見多つぬるひまに 16 わらんへこのきる物をと徒てい川ちともなく尓け 17 さ利ぬ盗人屋ゝ久しく徒るへを尋け連共古連耳 18 あ八須かゝ流本とにうへ尓あ可利志可八於き多る 19 き累物毛王らんへもう勢てみえ侍らすそ能時わ連 20 と王可身にい可川てひと利古と越いふやう満古と 21 尓道理乃うへよ利古連を天道者可らひ給ふ其故八 22 人のも能をぬ春まんとするもの八可へ徒天ぬ春満 |
古活字版 伊曽保物語 現字体仮名 01 盗人の悪念をさとつていとかなしき気色をあらは 02 してなく/\ゐたりしかぬす人是をみて何事共し 03 らすよのつねのかなしひにはあらすいとふ敷覚え 04 てさしよりていかなる事をかなしむといへは 05 わらんへ云やう誠にはなにをかかくし申さん心 06 にうき事ありたゝ今黄金のつるへをもつて水を 07 くまんとする所に俄になはかきれて井とに 08 おち入ぬちたひたつねもとむれともせんかたなし 09 いかにしてか主人のまへにて申へきやと云けれは 10 ぬす人是をきゝておもてにはあはれにかなしき 11 ふりをあらはしてなくさめて云いとやすき事哉 【イソホ 下 廿五】 12 我そこへ入てひきあくへけれは汝いたくなけくへか 13 らすわらんへこれをきゝてうれしくて涙をのこひ 14 てたのみにけりその時ぬす人きる物をぬきておき 15 井との中におりてこゝかしこ見たつぬるひまに 16 わらんへこのきる物をとつていつちともなくにけ 17 さりぬ盗人やゝ久しくつるへを尋けれ共これに 18 あはすかゝるほとにうへにあかりしかはおきたる 19 きる物もわらんへもうせてみえ侍らすその時われ 20 とわか身にいかつてひとりことをいふやうまこと 21 に道理のうへよりこれを天道はからひ給ふ其故は 22 人のものをぬすまんとするものはかへつてぬすま |
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