古活字版 伊曽保物語 変体仮名 01　世尓奈らひなきめてた支鳥な利尋申た支事有 02　其故八祢くら尓屋と里給ふ前後さうよ利者遣し支 03　風吹とき八い川具におもてをかくさせたまふやと 04　申介れ八鳥答云左よ利風ふくとき八右乃徒者さに 05　可へ利をさしみきよ利可世ふく時八ひた利の津八 06　さ丹かへ利をさし候まへよ利可世ふ具時八うし路 07　尓可へ里をさし候うし路よ利かせふくとき八まへ 08　尓かへ里をさし候と申きつ年申遣る八あつ八連 09　そ能事志ゆう丹し給ふに於ゐては誠尓と利乃中 10　乃王たるへしたゝしきよこんやと申介れ八可能鳥 11　さら八志わさを見世んとて左右尓くひをめくらし 【イソホ　下　丗一】 12　うし路をき徒と見るとき尓狐はし里可ゝつてくら 13　いこ路しぬそ能古とく日々人尓教化をな須程なら 14　八ま津をの連可身越於佐めよ我身乃事を八さし於 15　きて人能遣うけを世ん事八ゆめ／＼あ流へ可ら須 16　　　　廿九　　出家とゑ乃こ能事 17　あ流人ゑ乃こ一疋なつけそ多て是をあひ志遣流可 18　年比あ利てな尓と可志た利介ん可能えのこ俄尓 19　死須る事阿利介利主し古連を奈け支可奈し 20　三て心耳思ふやうかゝ流いとけ奈支え乃この志 21　可ひ八山野尓春てんよ利八とても能事尓寺乃可多 22　八ら尓う徒ま八やと於もひて日暮尓乃そんて人尓

古活字版 伊曽保物語　現字体仮名 01　世にならひなきめてたき鳥なり尋申たき事有 02　其故はねくらにやとり給ふ前後さうよりはけしき 03　風吹ときはいつくにおもてをかくさせたまふやと 04　申けれは鳥答云左より風ふくときは右のつはさに 05　かへりをさしみきよりかせふく時はひたりのつは 06　さにかへりをさし候まへよりかせふく時はうしろ 07　にかへりをさし候うしろよりかせふくときはまへ 08　にかへりをさし候と申きつね申けるはあつはれ 09　その事しゆうにし給ふにおゐては誠にとりの中 10　の王たるへしたゝしきよこんやと申けれはかの鳥 11　さらはしわさを見せんとて左右にくひをめくらし 【イソホ　下　丗一】 12　うしろをきつと見るときに狐はしりかゝつてくら 13　いころしぬそのことく日々人に教化をなす程なら 14　はまつをのれか身をおさめよ我身の事をはさしお 15　きて人のけうけをせん事はゆめ／＼あるへからす 16　　　　廿九　　出家とゑのこの事 17　ある人ゑのこ一疋なつけそたて是をあひしけるか 18　年比ありてなにとかしたりけんかのえのこ俄に 19　死する事ありけり主しこれをなけきかなし 20　みて心に思ふやうかゝるいとけなきえのこのし 21　かひは山野にすてんよりはとてもの事に寺のかた 22　はらにうつまはやとおもひて日暮にのそんて人に

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