万治版 伊曽保物語 変体仮名
図2
【伊曽保上 〇十一二】
01 志やんと越。師匠とあ可゛め多天
万つり遣里
02 第八 く王ん可く能文字能
事
03 或時。志やんと。いそ本をめし
つ連。墓所を過させ給ふ尓。傍尓
04 く王ん可く有。其めぐり尓。七川の文字有。
一尓八よ。二尓八多。三
05 丹八あ。四川尓八本。五川尓八み。六川尓八こ。七川尓八を。是奈り
06 いそ本。志やんとに申遣る八。殿盤知
者丹天和多らせ給へ八゛。此
07 文字能心を。志らせ給ふやと云。志やんと。是八いにしへの字奈
り。
08 世遍多゛ゝ里時う川里て。今能人多や春く知事奈
しと仰
09 遣れ八゛。いそ本あざ笑天い者
く。此文字能心を。申あら八須尓
10 おゐ天八。い可者゛可里能御保うび尓可。あ川゛可らんと申遣れ者゛。
11 志やんと答云。此心をあ
ら八須尓おゐ天八。ふ多゛い能所をさし
12 をく遍゛し。志可の{み}奈ら春゛。もし此文字能下尓あらん物。半
分与
|
万治版 伊曽保物語 現字体仮名
図2
【伊曽保上 〇十一二】
01 しやんとを。師匠とあがめたてま
つりけり
02 第八 くわんかくの文字の
事
03 或時。しやんと。いそほをめし
つれ。墓所を過させ給ふに。傍に
04 くわんかく有。其めぐりに。七つの文字有。
一にはよ。二にはた。三
05 にはあ。四つにはほ。五つにはみ。六つにはこ。七つにはを。是なり
06 いそほ。しやんとに申けるは。殿は知
者にてわたらせ給へば。此
07 文字の心を。しらせ給ふやと云。しやんと。是はいにしへの字な
り。
08 世へだゝり時うつりて。今の人たやすく知事な
しと仰
09 ければ。いそほあざ笑ていはく。
此文字の心を。申あらはすに
10 おゐては。いかばかりの御ほうびにか。あづからんと申ければ。
11 しやんと答云。此心をあ
らはすにおゐては。ふだいの所をさし
12 をくべし。しかの{み}ならず。もし此文字の下にあらん物。半
分与
|