万治版 伊曽保物語 変体仮名
01 んと也。いそ本申遣る八。第一尓よと八。四川と云義也。二尓たと八。
02 多可らと云義也。三尓あと八。有
べしと書義也。四尓本と八。掘ぺ
03 しと云義也。五尓みと八。身尓付べ可ら須゛と云義也。
六尓こと八。
04 古可゛年と云義也。七尓をと八。
をくと云義也と読天。其下を
05 掘天見れ者゛。文
字能古゛とく。あま多の黄金有遣り。志やん
06 と是を三て。欲
念おこり。いそ本尓やくそくのごとくあ多へ春゛。猶
07 其下を掘見連八゛。四方奈
る石尓。五川能文字あら八連多り。一川
08 尓八を。二川に八こ。三川尓八見。四川尓八て。五川尓八わ。是奈
り。いそ
09 本是をみ天。志やんとに申遣る八。
此黄金越。見多゛り尓取給ふ
10 遍可ら春゛。其故八。此文
字尓顕連多利。第一尓をと八。をくと云
11 義奈り。二尓こと八。古可゛年と云
義也。三尓見と八。見付ると云義
12 奈利。四尓てと八。帝王と云
義也。五尓わと八。渡し奉る
へしと
【伊曽保上 〇十三四】
13 云義也。志可ら八゛其古可゛年を。保しひまゝ尓とり給ふべ可ら須゛と云。
14 其時志やんと。ぎやうてんし
て。ひそ可にいそ本を近付。此
事
15 他人尓もら春べ可ら須゛とて。可
年半分をあ多へ遣る。いそ本。
16 石尓向天礼を
春る。其ゆへ八。此可年を八゛。先尓八給八るまじき
17 尓さ多゛まりし可共゛。此文字ゆ
へ尓こそ給八りつ連とて。石と
18 文字と越礼
拝春。又いそ本申遣る八。此多可らを取
出須耳
19 おゐ天八。ふ多゛い能所を赦
免有べしと。堅契約有遣れ八゛。い満
20 より後八。御免奈しとて毛。御ふ多゛い能所を八゛。被^免可^申と云け
る也
21 第九 さん能法事能事
22 或時。其
里丹天。大法事執行こ
と有遣り。仍在所能老若男
23 女。袖を徒ら祢天是を聴
聞春。然処尓。さんの守護。粧ひ
24 ゆゝ志くめで多うお八し遣る処尓。鷲一川とび来里
天。可の
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万治版 伊曽保物語 現字体仮名
01 んと也。いそほ申けるは。第一によ
とは。四つと云義也。二にたとは。
02 たからと云義也。三にあとは。有
べしと書義也。四にほとは。掘べ
03 しと云義也。五にみとは。身に付べからずと云義也。
六にことは。
04 こがねと云義也。七にをとは。を
くと云義也と読て。其下を
05 掘て見れば。文
字のごとく。あまたの黄金有けり。しやん
06 と是をみて。欲
念おこり。いそほにやくそくのごとくあたへず。猶
07 其下を掘見れば。四方な
る石に。五つの文字あらはれたり。一つ
08 にはを。二つにはこ。三つにはみ。四つにはて。五つにはわ。是な
り。いそ
09 ほ是をみて。しやんとに申けるは。
此黄金を。みだりに取給ふ
10 へからず。其故は。此文
字に顕れたり。第一にをとは。をくと云
11 義なり。二にことは。こがねと云
義也。三にみとは。見付ると云義
12 なり。四にてとは。帝王と云
義也。五にわとは。渡し奉る
へしと
【伊曽保上 〇十三四】
13 云義也。しからば其こがねを。ほしひまゝにとり給ふべからずと云。
14 其時しやんと。ぎやうてんし
て。ひそかにいそほを近付。此
事
15 他人にもらすべからずとて。かね半
分をあたへける。いそほ。
16 石に向て礼を
する。其ゆへは。此かねをば。先には給はるまじき
17 にさだまりしか共゛。此文字ゆへ
にこそ給はりつれとて。石と
18 文字とを礼
拝す。又いそほ申けるは。此たからを取
出すに
19 おゐては。ふだいの所を赦
免有べしと。堅契約有ければ。いま
20 より後は。御免なしとても。御ふだいの所をば。被^免可^申と云け
る也
21 第九 さんの法事の事
22 或時。其
里にて。大法事執行こ
と有けり。仍在所の老若男
23 女。袖をつらねて是を聴
聞す。然処に。さんの守護。粧ひ
24 ゆゝしくめでたうおはしける処に。鷲一つとび来り
て。かの
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