古活字版 伊曽保物語 変体仮名

01 多うそく人と加うしうしな八者やとそ申介流
02 評定してそ能日尓もな利し可八道尓て於津可け黄
03 金をさ可し多うそく人と加うして須て尓路う志や
04 世しむやう屋く命もあやうくみえし可八於八利
05 ち可徒支ぬとや思ひ介ん末胡尓云をく事有介利
06 さ連八い尓しへ鳥け多物乃たくひまし者里を奈し
07 介流とき鼡蛙を志やうしてい川き可し徒支もてな
08 須事き八ま利なしそ能後又加い流ねす三を志やう
09 たひ春其きたるにのそんて加い流む可ひ尓出かい
10 累ねす三尓む可川て云やう我毛と八此辺奈利佐多
11 めて案内志らせ給ふ登於保衣候本と尓御む可ひに

【イソホ 中 十二】

12 満可利出侍ると申け連八祢須三可しこま津てよ路
13 こひ楚のと起可い流本そきな八をと利出してみち
14 ひ支奉らんとて祢春三のあし耳古連をゆい津遣
15 た利加くてた可ひ尓河乃本と里にあゆ三よ徒天徒
16 ゐに水の中へ入祢す三あ者てさはいて可いるに申
17 介流八なきけ奈し御辺(こ遍ん)をはさ満/\尓もて奈し侍
18 遣る尓わ連を八加ゝ流うきめ尓あは世給ふやと津
19 ふや支介流所尓とひ此由を三てい三しきゑしき可
20 なと婦多つな可ら徒可みつ井に衣食登奈して介利
21 其古とくい満伊曽保八年す三乃やう尓て御辺たち
22 尓よ起道越をしへ侍らんとす連と御辺たち八可い
古活字版 伊曽保物語 現字体仮名

01 たうそく人とかうしうしなははやとそ申ける
02 評定してその日にもなりしかは道にておつかけ黄
03 金をさかしたうそく人とかうしてすてにろうしや
04 せしむやうやく命もあやうくみえしかはおはり
05 ちかつきぬとや思ひけん末胡に云をく事有けり
06 されはいにしへ鳥けた物のたくひましはりをなし
07 けるとき鼡蛙をしやうしていつきかしつきもてな
08 す事きはまりなしその後又かいるねすみをしやう
09 たひす其きたるにのそんてかいるむかひに出かい
10 るねすみにむかつて云やう我もとは此辺なりさた
11 めて案内しらせ給ふとおほえ候ほとに御むかひに

【イソホ 中 十二】

12 まかり出侍ると申けれはねすみかしこまつてよろ
13 こひそのときかいるほそきなはをとり出してみち
14 ひき奉らんとてねすみのあしにこれをゆいつけ
15 たりかくてたかひに河のほとりにあゆみよつてつ
16 ゐに水の中へ入ねすみあはてさはいてかいるに申
17 けるはなきけなし御辺(こへん)をはさま/\にもてなし侍
18 けるにわれをはかゝるうきめにあはせ給ふやとつ
19 ふやきける所にとひ此由をみていみしきゑしきか
20 なとふたつなからつかみつゐに衣食となしてけり
21 其ことくいま伊曽保はねすみのやうにて御辺たち
22 によき道ををしへ侍らんとすれと御辺たちはかい
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