万治版 伊曽保物語 変体仮名
図1
【伊曽保上 〇五】
01 傍輩等丹毛。仰付させ給へ可しと申され遣連八゛。志やんと
02 可れ可゛望三をとげさせ給ふ。其者可里ことゝい川八。各傍輩
03 等を。御前尓召い多゛され。酒をく多゛され天侍る奈ら八゛。ときやく
04 をせんこと有べし。其柿をときやく志多らん者を。某によら
05 春゛其と可゛多るべしと申。志やん{と}遣゛にもとおもひ天。其計略
06 を奈し給ふ尓。多奈心をさ須可゛ごとく。少毛多可゛八須゛彼柿を
07 ぬ春三くひ多る者ど毛。一度尓ときやく春。さるによ里て。
08 いそ本八と可゛奈く。者う者゛いど毛八徒三を可うふり遣類。いそ
09 本可゛当座能きてん。きどくとぞ人々可んじ給ひ遣利
10 第四 のう人能婦しん能事
11 ある時志やんと。山野尓逍遥して。いそ本をめしつ連給ふ。爰
12 尓のう人。志やんとに尋申。それ天地能間に。生る所農草木
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万治版 伊曽保物語 現字体仮名
図1
【伊曽保上 〇五】
01 傍輩等にも。仰付させ給へかしと申されければ。しやんと
02 かれが望みをとげさせ給ふ。其はかりことゝいつは。各傍輩
03 等を。御前に召いだされ。酒をくだされて侍るならば。ときやく
04 をせんこと有べし。其柿をときやくしたらん者を。某によら
05 ず其とがたるべしと申。しやん{と}げにもとおもひて。其計略
06 をなし給ふに。たな心をさすがごとく。少もたがはず彼柿を
07 ぬすみくひたる者ども。一度にときやくす。さるによりて。
08 いそほはとがなく。はうばいどもはつみをかうふりける。いそ
09 ほが当座のきてん。きどくとぞ人々かんじ給ひけり
10 第四 のう人のふしんの事
11 ある時しやんと。山野に逍遥して。いそほをめしつれ給ふ。爰
12 にのう人。しやんとに尋申。それ天地の間に。生る所の草木
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