万治版 伊曽保物語 変体仮名

01 を見るに。多ゞ雨露(うろ)能めぐ三越以天。(せい)長春ること奈し。此
02 い者れい可にととふ。志やんと答云(こ多へてい王く)。多ゞ(これ)(多う)能めぐ三奈り
03 との多まふ。其時(そのとき)いそ本あざ(王らつ)(い王く)。さやう能御こ多へ八。(あま)
04 (をろ可)尓候と申遣れ八゛。さら八゛とて志やんと立帰(多ち可へ)(のち)。のう(尓ん)(つげ)
05 多万八く。(さき)尓こ多ふる所其()尓あ多ら春゛。(王可゛)めしぐし(者べ)
06 (もの)尓。古多へさ須遍しと(お本せ)遣連八゛。のう(尓ん)(可の)いそ本可゛す可゛多
07 を三て。(お本せ)丹天八候へ共。可ゝ類あやし能(もの)の。い可(本ど)能事を可
08 (こ多へ)候べきと申遣連八゛。いそ本(きゝ)て。い可ゞ(奈んぢ)可゛いふ(ところ)道理(多゛う里)
09 も連多利。古多ふる(ところ)者川゛連春゛八。奈んぞ姿(す可゛多)能み丹くき尓
10 よらんや。され八゛(さき)にとふ(ところ)甚以(者奈者多゛もつ)天和きまへ屋ら春゛。汝継子(奈んぢけいし)
11 と実子(じ川し)を志るやい奈や。それ人間(尓んげん)(奈らひ)として。実子(じつし)を八是を
12 (あい)し。継子(けいし)を八゛是をうとん春゛。(その)古゛とく志多い能中尓生類。

    【伊曽保上      〇六七】

13 志多い可多め尓継子(けいし)也。人能継子(けいし)(もつ)天。志多い可親疎(志んそ)(わきまふ)

14     第五  け多ものゝ志多能事

15 ある(とき)志やんと。客来(きやくらい)能みぎり。いそ本尓(於本せ)て。(奈んぢ)(よの)中耳
16 めづらしき物を。もとめ(き多)連とあり遣連八゛。いそ本。遣多゛ものゝ
17 (志多)をの三調侍(とゝのへ者べ)り遣類。志やんと是を三て。世間(よの奈可)能めづらしき物
18 尓。介多゛ものゝ(志多)をもとむる事。(奈尓)事ぞと仰遣連八゛。いそ本
19 答云(こ多へてい王く)。それ世中(よの奈可)能有(さ満)を見るに。(志多)三寸能さへ徒゛りを以天。
20 遣んせ八あんをん丹して。後生(ごしやう)せん志よ尓い多り候も。(みな)舌頭(ぜつとう)
21 和ざ奈り。され八゛(志よ)丹く能(うち)尓おゐ天。(志多)八いちめづらしき物
22 尓あら春゛やと申。又有時(あるとき)世間(よの奈可)(多゛い)一能(あしき)物を。もとめ(き多)れと
23 有遣れ八゛。いそ本又。介多゛ものゝ舌をとゝのふ。志やんと是を見天。
24 是八世間(せけん)第一。めづらしき物丹天こそあ連。あしき物と八奈に
万治版 伊曽保物語 現字体仮名

01 を見るに。たゞ雨露(うろ)のめぐみを以て。(せい)長することなし。此
02 いはれいかにととふ。しやんと答云(こたへていわく)。たゞ(これ)天道(たう)のめぐみなり
03 とのたまふ。其時(そのとき)いそほあざ(わらつ)(いわく)。さやうの御こたへは。(あま)
04 (をろか)に候と申ければ。さらばとてしやんと立帰(たちかへ)(のち)。のう(にん)(つげ)
05 たまはく。(さき)にこたふる所其()にあたらず。(わが)めしぐし(はべ)
06 (もの)に。こたへさすへしと(おほせ)ければ。のう(にん)(かの)いそほがすがた
07 をみて。(おほせ)にては候へとも。かゝるあやしの(もの)の。いか(ほど)の事をか
08 (こたへ)候べきと申ければ。いそほ(きゝ)て。いかゞ(なんぢ)がいふ(ところ)道理(だうり)
09 もれたり。こたふる(ところ)はづれずは。なんぞ姿(すがた)のみにくきに
10 よらんや。されば(さき)にとふ(ところ)甚以(はなはだもつ)てわきまへやらず。汝継子(なんぢけいし)
11 と実子(じつし)をしるやいなや。それ人間(にんげん)(ならひ)として。実子(じつし)をは是を
12 (あい)し。継子(けいし)をば是をうとんず。(その)ごとくしたいの中に生る。

    【伊曽保上      〇六七】

13 したいかために継子(けいし)也。人の継子(けいし)(もつ)て。したいか親疎(しんそ)(わきまふ)

14     第五  けたものゝしたの事

15 ある(とき)しやんと。客来(きやくらい)のみぎり。いそほに(おほせ)て。(なんぢ)(よの)中に
16 めづらしき物を。もとめ(きた)れとありければ。いそほ。けだものゝ
17 (した)をのみ調侍(とゝのへはべ)りける。しやんと是をみて。世間(よのなか)のめづらしき物
18 に。けだものゝ(した)をもとむる事。(なに)事ぞと仰ければ。いそほ
19 答云(こたへていわく)。それ世中(よのなか)の有(さま)を見るに。(した)三寸のさへづりを以て。
20 けんせはあんをんにして。後生(ごしやう)せんしよにいたり候も。(みな)舌頭(ぜつとう)
21 わざなり。されば(しよ)にくの(うち)におゐて。(した)はいちめづらしき物
22 にあらずやと申。又有時(あるとき)世間(よのなか)(だい)一の(あしき)物を。もとめ(きた)れと
23 有ければ。いそほ又。けだものゝ舌をとゝのふ。しやんと是を見て。
24 是は世間(せけん)第一。めづらしき物にてこそあれ。あしき物とはなに
著作権はhanamaが有します。 底本・米山堂版画像  京都大学付属図書館 伊曽保物語  
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