童 蒙 教 草


巻の二

第十二章 自から満足する事

     (イ)黄金の玉子を生む鵞鳥の事 寓言

 或人の家に、毎日黄金の玉子を生む鵞鳥あり。主人はこの幸福を得て満足すべき筈なるに、却て貪欲の心を増し、毎日一つづゝ玉子を取らんより、彼の鵞鳥の腹を割(さ)き其無尽蔵を開かんものをと思ひ、これを殺したるに唯一(たゞひとつ)の玉子をも見ず、大に望を失ひ後悔したりしとぞ。


・類話などについて

タウンゼント 163.メンドリと金の卵

 ある農家の夫婦が、金の卵を産むニワトリを持っていた。二人は、ニワトリの腹の中には、大きな金塊があるに違いないと思い腹を裂いてみた。しかし、腹の中には金塊などなかった。
 こうして、いっぺんに、金持ちになろうと望んだ夫婦は、毎日保証された利益をふいにしてしまった。

Perry87 Chambry287 Babrius123 Avianus33 Caxton7.24 伊曽保3.25
Houston57 La Fontaine5.13 Krylov6.4 TMI.D876 (Ba)

タウンゼント 168.女将とメンドリ

 ある女将が、毎日卵を一つ産むメンドリを持っていた。彼女は、一度に二つの卵を手に入れるにはどうすればよいかと、あれこれ考えた。そして、メンドリに二倍の大麦を与えることにした。
 それ以来、メンドリは太り、羽毛もつやつやした。しかし、メンドリは一度に二つの卵を産むことはなかった。

Perry58 Chambry90  Charles99 J.index76,257 TMI.J1901.1 (Aesop)

日本昔話通観インデックス 76 竜宮犬
貧しい男が大みそかに竜宮の神に門松を捧げていると、現れた竜宮の使いが男を竜宮へ案内する。男は乙姫にもとなされ、帰りに使いの助言で、一日に米一合を食わせると小判一枚を生む犬をもらい帰る。犬は毎日米一合を与えられて小判一枚ずつ生みつづけ、男は金持ちになる。隣人が犬を借りて帰り、一度にたくさんの米を食わせると犬は死ぬ。

日本昔話通観インデックス 257 母の猫
弟が雷雨をついて母の墓に参り、墓からとび出た猫を連れ帰る。猫は一日に米一合を食わせると、毎日黄金を生む。不幸な兄がまねて、猫に米一升を食わせると、猫は死ぬ。弟が猫を葬った上に木を植えると、木に黄金の実がなりつづける。

日本昔話通観インデックス 302A 水の神の文使い---書き替え型
旅人が、池のほとりで河童の化けた女から、遠くの妹への白紙の手紙をことずかる。旅人に相談された僧は、手紙を水につけて、この男の肛門を取れ、と読みとり、この男をてあつくもてなせ、と書き替えてくれる。手紙を見た妹は、旅人に金ひり犬をくれ、旅人は犬のおかげで金持ちになる。旅人が犬に一度にたくさんの米を食わせると、犬は姿を消す。

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